「7年半が過ぎた今でも関心を持っていただき感謝します」…

西日本新聞

 「7年半が過ぎた今でも関心を持っていただき感謝します」。伊沢史朗町長ら復興に取り組む人々の真摯(しんし)な言葉がむしろ胸に突き刺さった。こちらは感謝されるほど被災地に心を寄せてきたか

▼東日本大震災で地震、津波、原子力災害の三重苦に見舞われた福島県沿岸部を訪ねた。その中でも福島第1原発が立地する双葉町の苦悩は深かった。いまだ帰還困難区域が町面積の96%を占め、「全町避難」が続く

▼役場機能は現在、県南部のいわき市に設けられているが、町民のうち4074人は県内各地に、2818人は九州を含む県外に散らばる

▼隣接の大熊町とともに汚染土壌の中間貯蔵施設の受け入れも余儀なくされた。除染を進めるため「悩みに悩んだ末の決断」と伊沢町長。最終処分先が見つかる当てはない。それでも「古里への帰還はあきらめない」という

▼被災者が置かれた境遇は理不尽極まりない。納得がいかぬことは山ほどあろう。折しも津波対策を怠ったとして強制起訴された東京電力の旧経営陣は法廷で責任を全面否定した。かと思えば免震装置メーカーの検査データ改ざん問題も発覚した。「安全軽視」の連鎖か

▼福島の新聞は毎日、細かいデータの一覧表を掲載している。県内各地の放射線量測定値。煩雑な作業であっても命に関わる数字を正確、克明に伝え、記録していく。地元紙の真摯な営みが地域を支えていることも改めて知った。

=2018/10/20付 西日本新聞朝刊=

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