【数字で切る熊本市 11・18市長選】(2)2013~17年の合志市への流出2377人 子育て支援、十分ですか

西日本新聞

 「勝ってうれしい花いちもんめ」。夕方、合志市の住宅街に、子どもや母親たちの楽しそうな声が響いた。その一人、8歳と4歳の男児2人を育てる主婦富永慶子さん(36)は笑顔で語った。

 「子どもが伸び伸び遊べる環境っていいな」

 2016年2月に熊本市東区から引っ越し、一戸建てに暮らす。同市内にある夫(33)の職場は遠くなったが、子育てのしやすさを第一に考えた。

 念願の庭付き一戸建てを実現できたのも「熊本市より土地代が安かったから」。「子どもの医療費が無料なので、気軽に病院に行けるのは助かる」と富永さん。13年に同市南区から転入してきた青山有紀子さん(35)もうなずいた。

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 合志、西合志の2町が06年に合併して誕生した合志市。熊本市のベッドタウンとして人口が増加し、一気に宅地開発が進んだ。

 熊本市によると、合志市と菊陽町への転出者数は、2013年から5年連続で転入を上回った。特に、熊本市から合志市に毎年千人以上が転出しており、13年から5年間で2377人が流出した計算になる。0~14歳の「将来世代」も、熊本市から合志市への転出の方が多い。

 合志市は「子育て支援日本一のまちづくり」を掲げて、中学3年までの医療費完全無料化を実現。21年4月には小中一貫校が開校する予定で、教育環境も充実しつつある。

 富永さんは「熊本市に住むママ友から『うらやましい』と言われる」と話す。

 東洋経済新報社が全国791市と東京23区を対象にまとめた「住みよさランキング2018」では、合志市は27位。九州の市で2位になった。

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 かたや、全国506位だった熊本市。

 小3以下が対象だった医療費の助成制度を見直し、今年から中3以下に拡大した。入院は無料になり、小4から中3までの医療費は3割負担から月最大1200円に軽減された。

 ただ、3歳から小3は、通院費が200円増の月700円に、自己負担ゼロだった調剤費も700円となり、負担感が増す形に。再考を求める市議会の声を受け、12月からは小4~小6も通院・調剤費の上限が700円に減額されるが、完全無料の合志市に比べて、物足りなさは否めない。

 高齢化と人口減に悩む自治体が、若い世代を呼び込むために子育て支援策を競い合うなか、熊本市の施策は十分といえるのか。子育てサークル活動に取り組む東区の主婦森川亜弥さん(47)は危機感を抱く。「政令市にあぐらをかいていると、そのうち街が高齢化してしまう」

=2018/10/22付 西日本新聞朝刊=

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