【数字で切る熊本市 11・18市長選】(4)自主財源比率32.9% 庁舎建て替え財政直撃

 震度6強の地震で、熊本市役所の基礎部分が大きく損傷する恐れがある-。

 熊本市は6月、築37年の本庁舎(中央区手取本町)の耐震調査の結果を公表した。建築基準法の現行の耐震基準を満たしていないことも分かり、市関係者に衝撃が走った。

 市は9月の市議会特別委員会で「大規模改修による耐震補強ではなく、建て替えが妥当」との学識者の意見を報告。建て替え案を軸に進めたい考えだ。

 ただ、柱や基礎部分の損傷は確認されておらず、議員からは「市の主張はあくまでも臆測。現状は違法ではなく、建て替える理由がない」などと疑問視する声が噴出した。

 最大の理由は、市のもろい財政基盤だ。市の試算では、庁舎建て替えの総事業費は最大410億円。国の支援を活用しても、市の負担は228億~318億円。1年間の自主財源1363億円の17~23%に相当する。庁舎の改修・建て替えに備えた基金の積み立てもしていない。

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 熊本県立大の小泉和重教授(地方財政論)によると、熊本市は地震前、公共事業を絞って比較的良好な財政運営をしてきたという。しかし、17年度の自主財源比率は全国20政令市で最下位の32・9%に低下。もともと「大企業が少なく、市税収入が少ない」(市財政課)上に、熊本地震が悪化に拍車を掛けた。

 一般会計の17年度決算は歳入4149億円、歳出4027億円。市税収入は歳入の約24%の994億円だった。市が3月公表した財政の中期見通しでは、地震被災者の所得税や住民税の軽減措置が縮小される影響もあり、市税収入は今後数年間で緩やかに増える。ただ、大幅な増加は見込めない。

 財政の健全化に向けて、市の担当者は「今後、年5億円程度の収支改善が必要」とするが、具体策はこれからだ。

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 借金に当たる市債残高(国が補填(ほてん)する臨時財政対策債を除く)は、15年度は2184億円だったが、18年度末に2808億円に上る見込み。貯金である財政調整基金の残高も、約101億円(15年度末)から18年度末には約45億4千万円まで減ると想定される。

 市は庁舎建て替え費を賄うため、財政負担が小さい合併推進債を活用する方針。事業費のうち、24年度までに行う実施設計以降の経費約200億円の9割に充当可能で、起債額の4割が交付税措置される仕組みだ。

 小泉教授は、庁舎建て替えについて「合併推進債を活用して財政調整基金を取り崩しても、多額の借金を抱えることになる」と危惧。「熊本城ホールや市電延伸など大型事業の計画を見直し、地震後のビジョンを再構築するべきだ」と提言する。

=2018/10/25付 西日本新聞朝刊=

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