デップさん主演に水俣期待 写真家故ユージン・スミス氏描く映画

西日本新聞

 1970年代に水俣病を世界に伝えた米国人写真家、故ユージン・スミス氏(18~78)の生涯を描く映画「ミナマタ」(原題)で、米人気俳優のジョニー・デップさんが主演のスミス氏役を務めることが決まった。71年9月から約3年間、水俣で暮らしたスミス氏と交流した人たちは「偉大な功績に再び光が当たることはうれしい」と喜んでいる。

 スミス氏は太平洋戦争中、従軍カメラマンとしてサイパンや沖縄を取材。戦後、「慈愛のひと・シュバイツァー博士」などのフォトエッセーで頭角を現した。

 その後、日本の出版経営者から水俣病の話を聞き、第1次訴訟が始まっていた水俣に、結婚したばかりのアイリーン・美緒子・スミスさん(68)と移住。74年11月まで農家から一軒家を借りて生活し、75年にアイリーンさんと共同で写真集「MINAMATA」(英語版)を出版した。

 生誕100年、没後40年となった今年の9月、アイリーンさんが映画関係者と水俣を訪問。水俣病歴史考証館を案内した水俣病センター相思社職員の葛西伸夫さん(48)は「ジョニー・デップさんが演じることに驚いている。水俣病から目を背けてきた人たちがどういう反応を示すか気になるし、若い人が関心を持つきっかけになれば良いと思う」と話す。

 当時、20代でチッソ従業員だった水俣市の渕上武さん(76)は、スミス氏の借家を頻繁に訪れて写真の教えを請うた一人。自らもカメラを持ち、日常の巨匠の素顔を捉えた。人気作「パイレーツ・オブ・カリビアン」などで知られる名優の配役に、「世界を股に掛けたユージンさんにふさわしい人選。聞かれれば(スミス氏の)人柄を余すところなく伝えたい」と期待を寄せた。

=2018/10/26付 西日本新聞朝刊=

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