不登校は生きるための選択 親の悩み共有「心に余裕を」 「カラコルの会」日田市

西日本新聞

県人権教育研究大会の分科会で「カラコルの会」について報告する小林さん(右) 拡大

県人権教育研究大会の分科会で「カラコルの会」について報告する小林さん(右)

 不登校やひきこもりの子どもを持つ親らでつくるグループが日田市にある。「カラコルの会」(三苫満江代表)は毎月例会を開催し、同じ境遇の親たちが率直な思いを話し、悩みを共有する「心のよりどころ」となっている。同市で20日に開かれた県人権教育研究大会(西日本新聞社など後援)では、会世話人の小林るみさん(57)が設立の経緯や体験談を語った上で、悩んでいる保護者の参加を呼び掛けた。

 会の毎月1回の例会には、不登校やひきこもりの子を持つ親や世話人らが10人前後集まり、近況報告を行い、悩みなどを語り合う。気兼ねなく日頃の思いを口に出し、お互いを受け入れ、心を通わせる。

 「カラコル」とはスペイン語で「カタツムリ」の意。人生で壁にぶつかったときは、カタツムリのように少しずつゆっくり前に進めば良いが一歩踏み出すときには、7千メートル以上の山が連なるカラコルム山脈(パキスタンなど)のように壮大な夢を持ってほしい、という思いが込められている。

 研究大会で、小林さんは「不登校は心に傷を負った子ども本人の“生きるための選択”で、決して悪いことではない」と強調した。「親が一人で抱え込まず、心に余裕を持って接せられたら、子どもは変わる」と親の心の安定の大切さを呼び掛けた。

    ◇    ◇

 カラコルの会発足は2015年。前身は12年前の06年、1学年に12人の不登校の生徒がいた市内の中学校でできた「親の会」だ。小林さん自身、その一人だった。息子が不登校になり、悩み苦しんでいた。

 月1回の例会に参加して自分の気持ちを話したらすっきりでき、「うちの子だけじゃないんだと少し安心した」。小中学校で不登校となったものの、その後、高校や大学に進学し不登校から抜け出した子どもの母親からも話を聞いた。息子の不登校を機に「家庭がぐちゃぐちゃ」になり、生きた心地のしない毎日を送っていたが、「不登校は悪いことではない。生きていく方法はいくらでもあるんだ」と、気持ちも前向きになった。わが子を受け入れ、向き合うことができた。

 親の会の活動は、子どもたちの卒業などで一時途絶えたが、要望を受けて当時養護教諭だった三苫代表らがカラコルの会として復活させた。今年5月には、県内に11ある同様のグループが「不登校・ひきこもりを考える親の会ネットワークおおいた」(加嶋文哉代表)を結成し、チラシ配布による広報活動、行政との意見交換会も実施するなど活動は広がっている。

 カラコルの会の例会は、最終火曜日の午後7時、同市上城内町の市総合保健福祉センター「ウェルピア」で。今月は30日に開かれる。予約不要。三苫代表は「苦しむ親がいる限り、苦しむ子がいる。例会ではどんな話も受け入れられる。ぜひ活用して」と話す。

    ◇    ◇

 県人権教育研究大会は、差別解消に向けた人権教育を進めようと毎年、教職員やNPO法人などでつくる県人権教育研究協議会が県内各地を持ち回りで開催。当日は学校、行政関係者ら約1050人が参加した。

=2018/10/26付 西日本新聞朝刊=

PR

最新記事

PR

注目のテーマ