【数字で切る熊本市 11・18市長選】(5)熊本城ホール購入費283億円 街の発展へ核になるか

 鉄骨がそびえる工事現場から重機のうなりが聞こえてくる。熊本市中心部で進む「桜町再開発事業」のつち音だ。

 近くのレストランでは、女性たちがランチを楽しんでいた。熊本城を望む立地が気に入って出店したという経営者の男性(51)は「人通りが増えることには期待しています」と再開発を注視する。

 桜町再開発は九州産業交通ホールディングス(同市)が事業主体として約755億円をかけて店舗やホテルなどが入る15階建てのビルを建設し、2019年夏の開業を目指す。

 市はビルの一角を約283億円で購入し、会議やコンサート向けの施設「熊本城ホール」として19年12月に開業させる。経済効果を年間約170億円、費用対効果は10年間で1・54と試算。指定管理料は無料で、利益が出れば指定管理者が5年間で最大1億円を市に払う。

 市は7月から熊本城ホールの仮受け付けを開始。年間目標284件に対し、手続き中の件数(8月末)は、2019年度13件、20年度24件、21年度以降4件。市の担当者は「市街地にある便利さが強み。1年で契約を増やしたい」と意気込む。

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 市が民間と組み大型開発に公金を投入することには、市民や市議会に慎重意見も根強く、14年市長選の最大の争点だった。

 推進を訴えた大西一史市長は就任後、関心の高まりに配慮し熊本城ホールの規模を縮小できないか精査。市が15年3月にまとめた再検討報告書は「規模縮小による事業費抑制は、機能が低下し使いにくくなる」として、定員2300人のメインホールなど計画の骨格を維持した。

 熊本商工会議所の坂井一文商工観光振興部長は「大規模投資をする以上、有効活用は必須。桜町から周辺に人が流れる回遊性向上が重要だ」と指摘する。

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 熊本市観光統計によると、同市を17年に訪れた観光客の消費額は725億円で、熊本地震があった16年の621億円だけでなく15年の700億円も上回った。復旧工事関係者による底上げ効果もあると推定されるが、順調な回復を示す。

 19年には、ラグビーワールドカップ(W杯、10月)、女子ハンドボール世界選手権(11、12月)が県内で相次ぐ。ただ、地方経済総合研究所(熊本市)の16年10月の調査では、県内でラグビーW杯があると知っている人が57・9%、ハンドボールは33・6%だった。開催1年前となった今も、市民の関心を高めることは大きな課題だ。

 市は、桜町再開発との相乗効果で買い物客や観光客の回遊性を高めたい考え。同研究所の山中亜希子研究員は「国際スポーツ大会の効果を一過性にせず、将来の経済活性化につなげる工夫が求められる」と話す。

=2018/10/27付 西日本新聞朝刊=

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