知ってますか#8000 東京報道部 新西ましほ

西日本新聞

 先日、電動アシスト自転車の座席に1歳の娘を乗せたまま転倒してしまった。段差でバランスを崩し、足をついたものの重みに耐えられず横倒しに。娘は側頭部を地面にぶつけて大泣きした。

 娘にはヘルメットを着けさせていたため、幸い見た目にけがはない。でも、ぶつけたのは頭。言葉が出始めたばかりの娘は「痛い」と訴えることもできない。日曜だから、かかりつけ医は休み。救急病院に連れて行くべきか-。

 しばらく悩んだ末、短縮ダイヤル「#8000」に電話をかけた。休日や夜間の子どもの急な病気やけがについて、看護師や小児科医が無料相談に乗ってくれるサービス、小児救急電話相談の窓口だ。

 「どう転びましたか」「すぐ泣きましたか」「視線は合いますか」…。電話口の女性はこちらの様子を細かく尋ね「大丈夫でしょう」と言ってくれた。「24時間、特に最初の6時間はよく様子を観察して。おかしいと思ったら病院へ」。アドバイスをもらい、ほっとして電話を切った。

 もしもこの電話番号を知らなかったら、私は娘を救急病院に連れて行っただろう。休日急患の診療は混雑するし、動き回る娘を連れて行くのは大変で、本当は避けたい。それでも、自分だけの判断には自信がないし、もしも重症だったら…と不安だからだ。

 子どもが夜間に初めて高熱を出した時、ベッドから落ちた時など、これまで数回利用させてもらった。不安でいっぱいな時に、冷静に、適切な対応を教えてもらえる。本当にありがたいサービスだ。

 当然、みんな使っているだろうとママ友に話すと、「それ何?」と聞かれて驚いた。

 内閣府が2014年に行った調査では「#8000」の認知度はわずか10・2%。就学前の子どもがいる人でも4割にとどまる。国は「アンパンマン」を広報キャラクターに起用して啓発に力を入れているが、まだまだのようだ。

 厚生労働省の「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」でも、「#8000」の普及は重要課題の一つに挙げられていた。深刻化している医師の長時間労働の是正には、患者側も急を要さない夜間や休日の受診を減らすという意識改革が必要になる。

 ちなみに、このサービスの大人版「#7119」(救急医療電話相談)もある。導入地域は福岡県を含め7都府県・4市と、まだ少なく、こちらも認知度は低いようだ。

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 しんにし・ましほ 鹿児島市出身。2006年入社。日田支局、長崎総局、生活特報部を経て14年から東京報道部。主に生活に関するテーマを担当。

=2018/10/27付 西日本新聞朝刊=

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