乳がん治療 26歳の勇気 「若い人たちも関心を」発信続ける 元SKE48 大分出身の矢方美紀さん

西日本新聞 医療面

 アイドルグループSKE48の元メンバーでタレントの矢方美紀さん(26)=大分県玖珠町出身=が乳がんの啓発活動に力を入れている。4月に乳がん治療中と公表した後、治療の様子や思いをブログなどで発信。前向きに病気と向き合う姿勢が多くの人の共感を呼んでいる。10月は乳がんの啓発月間。「人ごとと思わず、同世代も関心を持ってほしい」と呼び掛ける。

 「20代で乳がんになるんだと驚き、これからどうなるのかすごく不安でした」。11日、都内であった乳がんセミナー「Know your Lemons」に登壇した矢方さんは、告知されたときの気持ちをこう振り返った。

 昨年末、テレビでたまたま見た乳がんのセルフチェックをしてみたところ、左胸の上の方にしこりを見つけた。良性だろうと思ったが、友人の勧めで受けた検査で乳がんと判明。4月に左乳房全摘出とリンパ節切除の手術を受けた。

 大分市内の高校に通っていた17歳のとき、名古屋を拠点に活動するSKE48のオーディションに合格しデビュー。経験を重ねて昨年2月にグループを卒業、新たなステージへ踏み出した直後の出来事だった。「もう仕事ができないのかと思ったけれど、治療と両立している人もいると知って。私も病気と向き合いながら続けようと思った」

 公表についてはすごく悩んだという。世間に胸を半分失ったと知られることになるし、どう受け止められるかも不安だった。「隠すのはいやだし、プラスになることもあるかなって」。反響は大きく、同じように病気と闘う人たちと交流も生まれた。「頑張っている人がたくさんいるんだ、と力をもらいました」

 胸の一部を残す選択肢もあったが、再発したときのことを考えた。「かわいそうって言われるんですが、全然そう思っていない。自分の人生を長く生きたい、楽しみたいって気持ちの方が大きくて。今は再建手術もすごくきれいにできる。服を着ていれば困らないから、実は今、再建しない気持ちでいるんです」

 乳がんは、自分で発見できる数少ないがんで、早期発見、早期治療できれば生存率も高くなる。だが、FWD富士生命保険(東京)が行った調査では、7割の女性がセルフチェックをしていないという結果が出ている。矢方さんは「普段から胸のマッサージをしていたのでしこりに気づいた。日々のチェックが大切」と訴える。

 10~30代でがんを発症した「AYA世代」の患者は数が少ないため、実態把握が遅れている。また、就労や結婚、出産など悩みも多様なことから支援の必要性が指摘されている。

 「病気になって人生終わりなのかと思ったが、全然そんなことはなくて。生き方をあらためて考えるきっかけになった」と矢方さん。治療の副作用のため使用しているウィッグや帽子でおしゃれを楽しみ、新たな仕事に挑戦する様子を日々発信している。「悩んでいる人たちに、つらいことがあっても希望もあるよと伝えたい」

 ●「しこり」の感触は レモンの種のよう

 NPO法人ラン・フォー・ザ・キュア・ファンデーション(RFTC Japan、東京)は「レモンプロジェクト」として、胸をレモンに見立て、乳がんの知識や正しいセルフチェックの方法をセミナーなどで伝えている。

 日本人女性の11人に1人が発症するといわれる乳がん。だが、具体的にどんな兆候があるのかは分かりにくい。同NPOでは、米国の非営利団体「Worldwide Breast Cancer」が作った画像を使い、乳がんの見た目や感触を伝えている=写真。

 乳がんの兆候としてよく知られている「しこり」は「種のように硬く、動かない。形や大きさはさまざま」。「大きさ・形の変化」「赤み・ほてり」「みかんの皮のような肌」「普段はない分泌物」など、しこりも含めた12の兆候を分かりやすく説明する。

 RFTCの鈴木咲子マリアさんは「自治体の乳がん検診の対象ではない20~30代で患う女性も増えている。レモンで表したような兆候があれば怖がらずに乳腺科の受診を」と呼び掛けている。

=2018/10/22付 西日本新聞朝刊=

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