SNS被害 子ども守る安全な環境を

西日本新聞

 神奈川県座間市で男女9人の切断遺体が見つかった事件が発覚して1年がたった。

 強盗強制性交殺人などの罪で起訴された男は、インターネットの交流サイト(SNS)を使って、複数の女子高校生を含む被害者を自宅アパートに誘い込んでいたとされる。

 ネットは現代社会に、もはや欠かせない存在になった。見知らぬ人とも気軽に交流できるなど、利便性ゆえに落とし穴もまた大きい。とりわけ子どもがそれを介して犯罪被害に遭う深刻な事件が後を絶たない。座間事件などを教訓に、安全に利用できる環境を整えていきたい。

 警察庁によると、昨年はSNSをきっかけに、18歳未満の男女1813人が性犯罪などの被害者となった。統計のある2008年以降最多である。

 SNSには匿名性の恐ろしさが潜む。座間事件で男は相手の自殺願望などを利用したとされる。供述通りとするならば、SNSを最も卑劣な形で悪用したと言えるだろう。

 異性交際の出会いの場を提供する出会い系サイトについては03年、18歳未満を買春や援助交際に誘う行為などを罰する規制法ができた。08年には業者を届け出制にした。ネット接続業者による監視も厳しくなった。

 ところが、出会い系以外のSNSは規制が甘い。共通の趣味などで集うため、出会い系よりも警戒心は薄れがちだ。

 10代のスマートフォン(スマホ)利用率とSNS利用率は8割を超える。学校や家庭では、IDや本名を安易に相手に教えないよう指導したい。有害サイトへの接続を制限するフィルタリングサービスも有効だ。

 スマホの普及とともに、交流サイトは増え、多様化する一方だ。適切な助言と指導で大人が防波堤となりたい。

 警察庁によると、被害者が相手と直接会った理由は「金品目的」が最多で、「優しかった、相談に乗ってくれた」が続く。被害者のうち学校でネット使用について指導を受けた経験がある者は3割程度にすぎない。

 内閣府が今夏実施した世論調査によれば、「身近にいる子どもが性犯罪に遭うかもしれない」と不安を感じる人は7割を超えた。当然だろう。

 昨年の調査では犯罪に遭うかもしれない場所を「インターネット空間」と答えた人は6割に上り、初めて「繁華街」や「路上」を上回った。時代の流れである。対策は不可欠だ。

 孤独や疎外感に悩み、ネットに依存する人もいる。そうした人に救いの手を差し伸べ、支援する仕組みも整えたい。ネットへの対応は社会全体の課題となったと言えるだろう。

=2018/11/06付 西日本新聞朝刊=

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