僕は目で音を聴く(26) いじめられた悲しい思い出

 私は小学生時代、いじめを体験しました。当初は私の両親にも大変苦労を掛けました。耳の聞こえない人のことを指す差別語で呼ばれたり、体操服、教科書、補聴器まで隠され、捨てられたり、石も投げられ、机に落書きされたり…。学校から泣きながら帰る日もありました。

 先生に何度訴えても「クラスにいじめはありません! みんないい子です」と、前向きに取り組んでもらえませんでした。

 父と母は対策を考えました。経緯や被害状況を細かくノートに書き込み、先生に見せるようにしたのです。いじめはようやく、下火になっていきました。

 父からは「やられたらやり返せ」ともよく言われました。私もケンカはよく買いましたが、いじめの手段は、後ろからどついたり、聞こえないように悪口を言ったり、より隠れたところで行われるようになりました。

 小学4年の時、新しい担任がクラスの皆の前で机をたたき「いじめる人は誰なの? ひきょうなことをする人は好きではありません! 名乗りなさい!」と大声で叱ってくれました。その日から、いじめはピタッとなくなりました。先生の力は大きいなあと思うと同時に、両親の諦めない心も必要なんだなあと教わりました。いじめっ子は小学5年では別のクラスへ。いじめのないクラスで無事、卒業することができました。

 私をいじめたその子は現在、結婚して子どもがいます。悲しいのは、いじめ自体がなかったかのように今も知らぬ顔をしていることです。許されるかどうかは別として、わびることは大切な行為だと思います。

 世の中には私以上のいじめに遭い、生きる道を諦める人もいます。そんなニュースはやはり悲しい。自殺して初めて注目されますが、死んでからでは遅いのです。いじめられた人の体験談だけでなく、いじめた人の当時の気持ち、振り返って今思うことを語ってもらうと、効果があるかもしれません。どうやったらいじめのない世の中を実現できるのか、皆で考えたいです。
 (サラリーマン兼漫画家、福岡県久留米市)

 ◆プロフィール 本名瀧本大介、ペンネームが平本龍之介。1980年東京都生まれ。2008年から福岡県久留米市在住。漫画はブログ=https://note.mu/hao2002a/=でも公開中。

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=2018/11/01付 西日本新聞朝刊=

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