入管法改正案、制度設計示せぬ首相 業種や規模「精査中」 審議入り、野党は徹底抗戦

西日本新聞

 外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法改正案の審議が13日、衆院本会議で始まった。焦点となっている受け入れの対象業種と規模について、安倍晋三首相は「近日中に示す予定」と述べるにとどまり、詳しい制度説明はできないまま。野党は法案の骨格が整っていない「骨皮筋なし法案だ」などと批判し、徹底抗戦の構えを見せた。政府側は今国会で成立させる構えだが、前途は多難だ。

 「法律の形式に整えただけの手抜き法案だ」

 国民民主党の階猛氏は対象業種、規模だけでなく、どの程度の専門性が必要なのかも含めて条文で明らかにしていないことを厳しく批判した。

 受け入れ規模については、同日朝から報道各社が2019年度の1年間で最大約4万7千人、5年間で最大34万人となる想定を政府がまとめたと相次いで報じた。にもかかわらず、首相も山下貴司法相も「現在、関係省庁において精査中」と繰り返すのみ。野党は「なぜ説明できないのか」と突き上げた。

 技能実習制度を巡っては、一部の受け入れ企業などで賃金不払いなどの問題が指摘されている。政府は実習生を対象にした調査結果を早急に公表する方針を示しているが、この日も公表には至らなかった。野党側から再三、早期公表を求められても首相は「新設する出入国在留管理庁で管理を抜本的に強化する」と述べただけだった。

 守勢に回る首相の見せ場は、受け入れ数の上限を設ける考えを示した場面にとどまった。自民党の田所嘉徳氏の質問に業種別の初年度と5年後の受け入れ見込み数を近日中に示すとした上で、「大きな事情変更がない限り、この数字を超えた受け入れは行われない」と強調。今後、作成する運用方針で、5年ごとに5年間の受け入れ見込み数を示す予定だとも述べた。

 立憲民主党の山尾志桜里氏は具体的な制度設計が示されていないことに触れ「審議ができない」と反発。共産党の藤野保史氏も詳細な制度設計を基本方針や省令などに委ねる「白紙委任法案だ」と批判した。

 政府は外国人材の受け入れ拡大に伴い、健康保険の運用を見直す方針を決めた。新設する在留資格のうち、一定技能が必要な「特定技能1号」は永住権取得要件の一つである「5年以上の国内就労」に算入しない方針も固めた。ただ対応は後手に回っており、首相は健康保険の運用見直しについて「加入要件の確認の厳格化など運用の改善をしており、引き続き必要な対応を検討する」としか説明できなかった。

 「施行時期にこだわる特段の理由はないはずだ」。こう問いただす野党議員に対し、首相は少子高齢化や生産年齢人口の減少に触れ、「現下の人手不足の状況は深刻。待ったなしの課題に迅速に対応するため、来年4月からのスタートを目指す」と強調した。

 野党は政府の対応に反発を強めているが、首相側に「来年4月施行」を譲る気配はない。来年夏の参院選をにらみ、労働力不足の解消を訴える経済界や地方にアピールするため、今国会での成立に突き進む考えだ。

=2018/11/14付 西日本新聞朝刊=

PR

社会 アクセスランキング

PR

注目のテーマ