外国人材の「駆け込み寺」どこが担う? 受け入れ選考や生活支援…不透明な法改正案

西日本新聞

バーベキューの後片付けで協力し合う外国人留学生。レクリエーションも日本生活に慣れる教育の一つだ=2日午後、福岡市城南区の油山 拡大

バーベキューの後片付けで協力し合う外国人留学生。レクリエーションも日本生活に慣れる教育の一つだ=2日午後、福岡市城南区の油山

 政府が目指す外国人労働者の拡大策で、主に想定される「外国人材」は途上国出身者。日本とは経済的、文化的に差異が大きく、来日後のケアが必須となる。13日に国会審議が始まった入管難民法改正案は、受け入れ企業と連携して支援に当たる「登録支援機関」の創設を明記するが、制度設計はこれからだ。労働力の一翼を担う留学生を受け入れ、失踪や偽装難民にも向き合ってきた日本語学校の関係者は「選考」と「初等教育」の重要性を訴える。

 「肉、おいしい。いっぱい食べました」。晩秋の気配漂う今月上旬、市街地を見晴らす福岡市・油山のキャンプ場で、「いろは日本語学校」(福岡市)の留学生がバーベキューやボール遊びを楽しんでいた。

 国籍はベトナム、中国、韓国、ロシア、スペイン、米国など約20カ国。「牛は神様」とするネパール人もおり、バーベキューの主役は豚と鶏だ。菜食主義者用に野菜もたっぷり準備した。宗教上豚肉が食べられないイスラム教徒は別グループとし、食後に合流した。

 肌の色も母語も異なる若者たちにとって、意思疎通の手段は日本語になる。「こうしたレクリエーションも教育の一環です」。大型バス3台を借りて企画した永田大樹校長は言う。

 同校は受け入れる留学生を選考する際、語学力の試験に加え、現地で面接や家庭訪問も行う。適応力や経済状況を確認することで来日後の失踪や偽装難民化を防ぐ狙いがあり、事実上、書類審査だけの入国管理局に代わるフィルター役にもなっている。

 来日後も日本語教育や進路相談にとどまらない。水洗トイレの使い方から交通ルールの指導、悩み事やトラブル対応、アルバイトの助言まで守備範囲は広い。

 永田校長は「この『初等教育』を経て日本で生活する力と自信が身に付く。教員は卒業後も親身になって相談に乗る。教育者にしかできない」と強調する。

 受け入れる外国人の選考、そして生活支援。こうした役割を誰が、どう担っていくのか、法改正案では不透明だ。

 新設の「登録支援機関」が生活指導や日本語教育などの支援計画策定を義務付けられているものの、具体的な規模や形態は不明。新たな在留資格「特定技能1号」「2号」で想定される仕事には、「知識」「経験」「熟練」といった言葉が並ぶが、どういう基準で選ぶのか定まっていない。

 在留外国人が増える中、難民申請も増えている。法改正によって難民認定申請後の就労を認めた2010年以降、顕著になり、17年は過去最多の1万9629人に達した。

 永田校長の学校でも、失踪して会員制交流サイト(SNS)などで仲間を見つけて転がり込み、難民認定申請するケースが相次ぎ、説得に苦慮したという。18年1月に就労目的の申請を排除するよう運用を見直し、ようやく減少に転じたが、こうしたトラブルへの対応も求められる。

 永田校長は「しっかり選考してもドロップアウトするケースはある。文化のあつれきも必ず生じる。その時、頼れる『駆け込み寺』が必要になる」と話している。

=2018/11/14付 西日本新聞朝刊=

PR

アクセスランキング

PR

注目のテーマ