僕は目で音を聴く(27) 頭の中で「言葉のパズル」

 今回は、私が相手とコミュニケーションを取っている方法を詳しく、具体的に紹介します。

 この連載でもたびたび登場する「読唇術」がおよそ5割。相手の唇の動きを読んで、言葉を読み取るスキルです。

 それから相手の声を聞き取るのが2割、顔の表情で理解するのが3割ぐらいでしょうか。自分自身の体調が優れないとき、また相手の声のイントネーションやスピードによっても認識の程度は変わります。

 補聴器を着けているので、ある程度、実際の声に近い音を拾うことができますが、外すと認識力はかなり下がります。私の場合、男性に比べれば声が高い女性の方が理解しやすいかな、という感じです。

 顔の表情では、相手が笑っているのか、怒っているのか、悲しいのかなどをまず判断した上で、会話の内容を推測しながら読み取っていきます。無表情だとやはり分かりづらいです。

 相手の言葉が聞き取れたら、私はそれをまず平仮名として捉え、頭の中で漢字に変換していきます。いわば言葉のパズルをしているようなものです。声を一言一句、音として理解できたとしても、聞いたことがない、あるいは意味が分からない言葉があると、変換ができず、混乱することがあります。

 そんなとき、私は必ず「今、○○とおっしゃったのでしょうか?」と再確認を取るようにしているのですが、それがとんでもない間違いだったり、見当違いだったりすることも。大笑いされることもたびたびです。

 これがコメディーであれば、ボケたように受け取れるからなのでしょうが、私は真剣です。やっぱり悲しい気持ちになります。

 聴覚障害者の中には、補聴器などで声の聞き取りをしない人もいれば、逆に読唇術が苦手な人もいますので、全員が同じというわけではありません。周りにいる人が、その聞こえない人に適したコミュニケーション法を知ることで、お互いの関係性も深まっていくことでしょう。
 (サラリーマン兼漫画家、福岡県久留米市)

 ◆プロフィール 本名瀧本大介、ペンネームが平本龍之介。1980年東京都生まれ。2008年から福岡県久留米市在住。漫画はブログ=https://note.mu/hao2002a/=でも公開中。

※平本龍之介さんによる漫画「ひらもとの人生道」第1巻(デザインエッグ社発行)が好評発売中!

=2018/11/08付 西日本新聞朝刊=

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