バス路線効率化なるか 熊本市長選 乗客減、運転手も不足 進まぬ再編 実行力に期待

 熊本市長選(18日投票)ではバス路線の維持や利用促進など公共交通の改革も論点になっている。市は、バス会社が競合する路線を解消し経営を効率化する路線網再編を目指すが、具体的な計画は定まっていない。熊本地震後の運転手不足や乗客減少でバス事業の経営は厳しさを増しており、効率化は待ったなしだ。

 「熊本地震の渋滞で(ダイヤが乱れ)、バスの信頼性が損なわれたまま乗客が減っている。運転手が不足し路線を圧縮しないと維持できない」。10月19日に開かれた熊本市公共交通協議会のバス路線網再編部会で、九州産交バスの森敬輔社長が苦境を訴えた。

 森氏によると、同社と子会社の産交バスの運転手は定員783人に対し55人不足。休日が少ないのを嫌った運転手が退職する悪循環が続いた。この1年で54人採用したが、定年も含め42人が退職し、12人しか増えなかったという。2015年度に1461万人いた両社の乗客数は、地震があった16年度に1259万人に減少。17年度も前年度比20万人の微増にとどまった。

 路線網再編が効率化の切り札とされるのは、熊本都市圏を両社のほか熊本電鉄バスと熊本バス、熊本都市バスが走り、乗客の多い幹線で競合しているからだ。「どのバスに乗ればいいか、時刻表が多くて分からない」「違う会社のバスが立て続けに来る」など、苦情の原因になっている。

 路線網再編は以前からの課題だった。

 九州産交バスなど民間3社が出資して発足した熊本都市バスは、2009年から6年かけて旧熊本市営バスの路線を引き継いだ。熊本都市バスが民間会社に路線を移譲し競合を解消する形が期待されたが、実現しなかった。市公共交通協議会会長の坂本正・熊本学園大シニア客員教授は「路線の移譲は痛みを伴うデリケートな問題で、調整には時間がかかる」と話す。

 選挙戦では、現職の大西一史氏(50)が「バス路線を再編しないと経営が持たない」、新人の重松孝文氏(71)は「高齢者の足として維持しなければならない」とそれぞれバスの重要性を主張している。

 自治体は赤字路線を維持するための補助金を交付しており、バス会社だけで路線の改廃を決められない事情もある。坂本会長は指摘する。「十数年かけて事業者同士が再編を話し合うだけの信頼関係ができた。バスの減便を抑えつつ再編の議論が進むよう、新市長がリーダーシップを発揮してほしい」

=2018/11/16付 西日本新聞朝刊=

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