みかじめ料要求、後を絶たず 勢力強める道仁会と浪川会 組織の垣根越え「頂上作戦」へ

西日本新聞 筑後版

捜査員が勢ぞろいした筑後地区暴力団集中取締本部の発足式 拡大

捜査員が勢ぞろいした筑後地区暴力団集中取締本部の発足式

ネオンが輝く久留米市・文化街。現在も暴力団にみかじめ料を支払っている店舗があるという

 県警の「筑後地区暴力団集中取締本部」が、暴力団対策部に設置された。いずれも指定暴力団の道仁会(久留米市)と浪川会(大牟田市)の取り締まりを強化し、上層部を一気に摘発する「頂上作戦」も視野に入れる。暴力団抗争が激しかった10年ほど前に比べると活動は沈静化したとされるが「両団体とも勢力は維持しており、資金源となるみかじめ料要求も後を絶たない」と捜査関係者。水面下の動きを警戒する。

 「1カ月に3万円…かな」。久留米市中心部の繁華街・文化街に構えるクラブの男性店長は声を潜めた。「自分の知っている店はみんな払っているよ」

 数年前の開店直後から、場所代名目のみかじめ料を暴力団に払い続けている。「頼りになることもあるからね」と店長。例えば、他店から女性スタッフを引き抜いてトラブルになったとき、組関係者が“穏便”に解決してくれるという。

 「暴力団員立入禁止」-。店のドアには県公安委員会が発行した標章を掲示している。組員が無視して入店すれば県公安委が中止命令を出し、従わない場合は50万円以下の罰金が科せられる。それでも、店長は「飲みに来るよ。もちろん、ひと目で『その筋』と分かる服装や態度ではなく、普通にね」と明かす。「一般客に迷惑を掛けないなら、断る理由はないよ」

 この関係性をどう断ち切り、暴排の実効性をどう高めるか。「支払いをやめたら何をされるか分からない。警察がどこまで守ってくれるのか」。店長はこう語ると本心を吐露した。「暴力団と縁を切れるなら、それに越したことはないけどね」

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 10月29日、久留米署であった集中取締本部の発足式。県警の高木勇人本部長は「組織の垣根を越えた対策に取り組む」と力説した。取締本部は筑後地区7署と県警本部各部などの計200人態勢。組員の行動解明に加え、集金システムの把握、未解決事件の摘発を重要課題に据える。

 県警によると、道仁会の構成員と準構成員は430人、浪川会は200人(昨年末現在)。2006年、道仁会の会長交代に端を発した道仁会と九州誠道会(現浪川会)の抗争は13年に終結したが、それぞれ態勢を立て直して勢力を強めているという。

 「筑後地区では飲食店など事業者を対象にした事件が継続的に発生している」と県警幹部。県公安委の中止命令は、みかじめ料など金品の不当要求が群を抜いており、今年は既に道仁会13件、浪川会4件の中止命令が出ている。幹部は「事件の摘発を重ねて、暴力団に対する恐怖を払拭(ふっしょく)したい」と話す。

=2018/11/17付 西日本新聞朝刊=