失踪実習生データ誤り 「高賃金求めて」87%→「低賃金」67% 法務省調査

西日本新聞

 外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法改正案を巡り、法務省は16日、失踪した外国人技能実習生を対象とした聞き取り調査の集計データに誤りがあったと明らかにした。「より高い賃金を求めて」との失踪動機が約87%としていたが実際は約67%だった。野党は「根幹に関わる数字の誤りで制度が揺らぐ。意図的な可能性もある」と反発。与党は同日、衆院法務委員会で実質審議入りする予定だったが、立憲民主党が葉梨康弘委員長(自民)の解任決議案を提出したため散会となり、見送られた。

 調査は、失踪者の動機や経緯の把握を目的に、法務省が2014年から不法在留などで摘発した実習生を対象に「聴取票」を使って実施。失踪動機は「低賃金」「低賃金(最低賃金以下)」「低賃金(契約賃金以下)」「暴力を受けた」「指導が厳しい」など10項目から複数回答で選ぶ。

 法務省はこれまで、17年の2892人分の集計として「低賃金」の3項目の回答総数をまとめ、選択肢にない「より高い賃金を求めて」を失踪動機とする人が2514人と与野党に説明してきた。

 同省は16日の衆院法務委理事懇談会で訂正内容を説明。失踪動機の「低賃金」3項目の総数は585人少ない1929人に減る一方、「指導が厳しい」は155人から362人、「暴力を受けた」が88人から142人にそれぞれ増えた。対象者も22人少ない2870人だった。重複計上などの集計ミスが原因としている。

 再集計結果によると、実習生が母国の送り出し機関に支払った金額は「100万円以上150万円未満」が1100人で最も多く、資金の調達方法は大半の2552人が「借り入れ」だった。月額給与は「10万円以下」が1627人で最多。「10万円超~15万円以下」も1037人に上った。

 通常国会では働き方改革関連法に関する裁量労働制の不適切データ問題が発覚したが、立憲民主党の辻元清美国対委員長は記者団に「実態を覆い隠す数字の操作をしていたのではないか。情報開示が不十分で審議に応じられない」と政府の対応を批判。安倍晋三首相はオーストラリアでの記者会見で「緊張感を持って国会対応に努めていく」と述べた。

 与党は12月10日までの会期内での成立を目指すが、解任決議案は法案審議より優先されるため、審議日程も大幅にずれ込む可能性がある。

=2018/11/17付 西日本新聞朝刊=

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