活用し地域の未来を創る 根岸裕孝氏

西日本新聞

宮崎大地域資源創成学部教授根岸裕孝氏 拡大

宮崎大地域資源創成学部教授根岸裕孝氏

◆九州廃校学会

 10月13日に福岡県田川市で開催された第2回九州廃校サミットにおいて、「九州廃校学会」を設立した。九州各地の大学の研究者が、廃校の活用を通じた地域の再生について議論を深めていく場づくりを目指している。

 わが国は、人口減少と少子高齢化に直面している。文部科学省の調査によると、全国で毎年500近くの学校が廃校となっている。廃校は各地で生涯学習やスポーツ交流、自然体験、食品加工販売、介護、起業支援、アートなど多様な用途による活用が行われている。その一方で学校施設が現存している廃校のうち、2割程度が未活用のまま残されている。

 もともと学校は、子どもたちの学びの場であるとともに、地域コミュニティーの拠点でもある。学校には地域の人々が建設時や維持のために寄贈した備品や花木、銅像などが多数存在している。学校で行われる運動会などは、地域の一大行事となっている。このため廃校となれば、地域社会の衰退に拍車をかけることになる。

 廃校の活用は、学校施設という地域資源を活用した地域の再生の取り組みである。事業を担う民間側からみた廃校活用のメリットは、初期費用を抑制して拠点づくりが可能であり、自然などの周辺環境を生かした空間づくりができること、さらに事業を行う際に地域の人々の協力が得やすいことなどが挙げられる。地域住民にとっては、活用によって地域の歴史や記憶の伝承が可能となる。

 一方で課題も多い。廃校施設を活用するための合意形成や改修の費用負担、運営主体のマネジメントや人材の育成をいかに図るかなどなど。九州廃校学会は、多様な専門分野からなる知のネットワークを形成し、学術的視点から、これらの諸課題を明らかにし、解決に向けた提案を行う。廃校の活用については大学の学生たちの関心も高いことから、学生による廃校利活用の提案やインターンシップの実施などを通じて、大学と廃校活用の現場との交流を促進させたいと考えている。

 廃校の活用とは、言い換えれば多くの人々が繋(つな)がり地域の未来を創(つく)ることでもある。大学の立場から果敢にチャレンジし、九州から地方創生の最先端モデルを全国に、そして世界に発信をしていきたいと考えている。

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 根岸 裕孝(ねぎし・ひろたか) 宮崎大地域資源創成学部教授 1966年生まれ、栃木県出身。九州大大学院修了。博士(経済学)。日本立地センター研究員、宮崎大准教授を経て現職。専門は経済地理学・地域経営論。九州廃校学会会長。

=2018/11/18付 西日本新聞朝刊=

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