【動物を幸せに~大牟田動物園の挑戦】(番外編) NPO法人「市民ZOOネットワーク」代表理事 佐渡友陽一さんインタビュー

西日本新聞 筑後版

 大牟田市動物園の今を紹介した連載「動物を幸せに」の番外編として、世界の動物園経営に詳しく、NPO法人「市民ZOOネットワーク」(東京)代表理事でもある帝京科学大講師の佐渡友陽一さん(45)にインタビューし、市動物園の評価と課題を聞いた。

 -大牟田市動物園は「動物園の新たな姿を切り開いた」と評価されている。

 「動物園が良くなるのは、多くは施設リニューアルが伴った場合だ。北海道の旭山動物園は、施設が古くて職員の努力だけではどうしようもない時期があったが、リニューアルし、動物を違った角度から魅力的に見せるアイデアを盛り込んで『そんな展示があるのか』と人気を集めた」

 「大牟田市動物園の椎原春一園長の方向性は全く違う。限られた資源の中で、動物にも飼育員にも徹底して優しい。例えばゾウがいなくなったら、普通に考えれば飼育員数を減らすところだが、園長は守り抜き、余力を動物福祉に充てた。これは画期的なこと。園長が10年以上やっていて責任が取れる態勢になっていることと、市役所、指定管理会社がしっかりサポートしていることが大きいのだろう。飼育員を減らしたら、動物福祉はできなくなる」

 「動物に優しくする。動物のために労力をかけている飼育員自体を見せる。それが地域の動物園のためになる-。この方法により動物園運営で勝負し、入園者数を伸ばした実績は、国内の動物園関係者に大きなインパクトを与えたと思う」

 -動物園の動物にとって、なぜ環境エンリッチメント(充実)が必要なのか。

 「簡単に言えば退屈するから。例えばナマケモノにとっては重要でないが、クマ科の動物はずっと歩きたいと思っているので退屈は苦手。キリンは何でもなめる『舌遊び』をするが、これも退屈だから。人から見て違和感があり、キリンにとっても良くない。動物の幸せのためには環境エンリッチメントが重要になる」

 -大牟田市動物園の課題と将来は。

 「老朽化した施設をどこかの時点で何とかする必要がある。欧米では寄付によるリニューアルが多いが、そこに大牟田が踏み切れるかどうかが課題で、可能性とも思う。入園者数増加による収入増は大事だが、それだけでは足りない。例えば欧米には、遺産相続の際に動物園などの施設が寄付を受ける仕組みがある。大牟田でも市と指定管理者がタッグを組み、予算も多くかけず、誰もが幸せになる仕組みをつくってほしい」

 「大牟田市動物園は将来も存在すると思う。それは市民に、自分の思い出を継承したいとのパワーがあるからだ。『子どもたちのために残したい』との思いが一番重要。これが寄付にもつながっていく。市民の中に強い存在として動物園がある限り、存続していく」

=2018/11/18付 西日本新聞朝刊=

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