【動物を幸せに~大牟田動物園の挑戦】(7) 手作り説明板 人の関心が保護に弾み

西日本新聞 筑後版

壁の「ボルダリング」を登るレッサーパンダのレン(大牟田市動物園提供) 拡大

壁の「ボルダリング」を登るレッサーパンダのレン(大牟田市動物園提供)

レッサーパンダの屋内展示室の入り口に掲げられた手作りの説明板

 2020年東京五輪で初めて採用されるボルダリングの施設が、大牟田市動物園にもある。レッサーパンダの屋内展示室(縦5・8メートル、横3・55メートル、高さ2・5メートル)。小さな角材が壁一面に貼られ、運が良ければ、レッサーパンダがよじ登る姿を見ることができる。

 展示室には、枝分かれした木や曲がった木などがまるでジャングルのように縦横無尽に置かれている。これら環境エンリッチメントの数が多い展示室で、ひときわ目立つのは説明板の多さ。各担当飼育員が工夫を凝らして手作りしている。

 レッサーパンダの展示室入り口には「まずこれをみて」と、床に木材が置かれただけの2年前の展示室内の写真が掲げられている。入園者は現在の状況との比較ができるようになっている。ジャングルのようにしている理由も「行動の種類(木登り)が増える」「居場所の選択肢が増える」と明示されている。

 さらに床にウッドチップを敷いたことで「においをかいだり、探索できるようになった」と効果を記し、レッサーパンダを飽きさせないために木を組み替えたり、床に枯れ草を敷いたりと変化を付けていることも書き込まれている。

 担当飼育員の河野成史さん(26)は以前、展示室前で入園者の会話に聞き耳を立てて反応を調べた。その結果「木が組んである」といった展示室の状況に興味を抱く言葉を発した人は、説明板がない場合は全体の2%にすぎなかったが、説明板を掲示すると8倍に増えた。

 「説明板があるのとないのでは大違い。どんな動物なのかを知るきっかけになってほしい」。森林面積の縮小などで、野生のレッサーパンダの生息数は急速に減っている。展示室の壁には、その説明も掲げられている。「多くの人がレッサーパンダに関心を持てば、保護活動にも弾みがつく」。河野さんはそう考える。

 環境エンリッチメントやハズバンダリートレーニングを「見える化」し、飼育員の創意工夫も「展示」して、入園者増につなげている大牟田市動物園。公設民営の小さな施設であっても、世界の自然動物に目を向け、飼育動物を幸せにするために「福祉を伝える動物園」という国内最先端の挑戦を、今日も続けている。

 =おわり

=2018/11/17付 西日本新聞朝刊=

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