被災窯元、豪雨から復活 土砂に埋まった展示場復旧 福岡・東峰村「民陶むら祭」開幕

西日本新聞

 福岡県東峰村で伝統工芸の小石原焼と高取焼を安く販売する「秋の民陶むら祭」が23日開幕し、約50の窯元などにファンが押し寄せた。昨年7月の九州豪雨では半数以上の窯元が被災。土砂に埋まるなど特に被害が大きかった二つの窯元も、この日に向けて展示場などを改修した。むら祭は25日までで、主催の運営委員会は「災害から1年5カ月近くかかったが、これで窯元はほぼ被災前の状況に戻った」と喜んでいる。

 圭秀窯は自宅兼作業場に土砂が堆積、展示場も失った。経営する梶原久さん(35)は思い切って貨物用の鉄製コンテナ(縦約6メートル、横と高さ約2・5メートル)2個をL字形につなげ、村内で初となるコンテナ展示場を設けた。被災前は和風だったが、今は波打つ灰色の鉄板が天井や壁にむき出しで、モダンな雰囲気の中に器を並べている。

 むら祭では初のお披露目で、常連客は笑顔で「おしゃれね」。一時は村営住宅に避難し、現在は家族7人が自宅で暮らせるようになった梶原久さんは「お客さんには長くお待たせした。来てくれる方のために頑張る」と口元を引き締めた。

 もう一つは原彦窯。ここも展示場や作業場に人の背丈近くまで土砂が積もった。「一時は廃業も考えた」という経営者の梶原大祐さん(38)だが、逆境をバネに奮起。展示場を被災前の倍の広さに改修し、壁紙やスポットライトで室内を明るく演出したほか、子ども向けアニメなどが見られるキッズスペースも整えた。

 「費用はかかったが、新たな気持ちで焼き物を作っていく」と誓う梶原大祐さん。原彦窯を毎年訪れるという福岡市の小川直人さん(34)も「店がきれいになった。今後も応援する」とエールを送っていた。

=2018/11/24付 西日本新聞朝刊=

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