2025年万博の大阪開催が決まった…

西日本新聞

 2025年万博の大阪開催が決まった。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。超高齢社会の先頭を走る日本の健康や医療分野での最先端の取り組みは世界も注目しよう

▼朗報のさなか、「いのち」を深く考えさせられる映画を見た。「人魚の眠る家」。事故で意識不明となり回復の見込みがない少女が、最先端技術による前例のない延命治療を受ける。眠っているだけのような美しい姿。娘の死を受け入れられない母は異常な行動に…

▼科学技術の進歩に伴い、生と死の境界はあいまいになっていく。「いのち」とは何か。人が人であるための尊厳とは。再生医療やクローン技術はどこまで許されるか。生命に対してどのような倫理観を持つべきか。「いのち輝く未来社会」へ、避けては通れない命題だ

▼大阪万博の具体的な内容はこれから。高度な健康、医療の技術や機器の展示会にとどまってほしくない。隣にカジノを開業する計画もふに落ちない。ギャンブル依存症など心の健康をむしばみかねない娯楽と一緒くたでいいのか

▼2800万人の来場、2兆円の経済波及効果。放置されていた人工島に使い道が。道路や地下鉄の拡張も…。そろばんをはじく音ばかり聞こえてくる

▼巨額の費用が投じられる万博である。高度成長をひた走る中で開催された前回から半世紀を経た日本が、「いのち」とどう向き合うか。成熟した国の姿を世界に示したい。

=2018/11/27付 西日本新聞朝刊=