「無縁墓」に悩む自治体 公営墓地で増加、5割超えも

西日本新聞

 管理する人がおらず荒れた「無縁墓」が九州の公営墓地で増え、半数を超える自治体もあることが西日本新聞の取材で分かった。墓地埋葬法は自治体の改葬と整地を認めるが、墓が弔いの場であることや自治体の費用負担となることから手を入れにくく、対応に苦慮している。少子化や故人を悼む意識の変化で近年は官民の墓地に引き継ぐ人を必要としない合葬墓ができており、福岡市も2020年度に整備を予定している。

 九州の政令市と中核市、県庁所在市の計10市に聞いた=表。福岡県久留米市の無縁墓は市営墓地22カ所にある計1531基のうち849基で55%。次いで大分市が24%。他は数%で、福岡市と長崎県佐世保市は墓地の使用者に承継人を挙げるよう求めており「無縁墓はない」。自治体間でばらつきがあるのが特徴だ。

 厚生労働省は無縁墓の総数を集計していないが、全国の官民墓地7千件以上の検索サイトを運営する鎌倉新書(東京)の担当者は「提携先の墓地や顧客から無縁墓への対応の悩みが寄せられる。無縁墓は全国で増えている」とみる。無縁墓が69%に上る熊本県人吉市の担当者は「以前と比べ無縁墓は増えている。背景には人口流出や高齢化がある」と説明する。

 墓地埋葬法は墓地管理料の未納や放置が続く場合、官報への掲載や立て札で公告し、1年たっても連絡がないと改葬できると定める。放置された墓石は倒壊の恐れがあるほか、多死社会で墓地の借り手の増加も想定されるためだ。昨年度、全国の官民墓地で改葬された無縁墓は3384件に上った。

 ただ、自治体には改葬にためらいがある。久留米市は11年度から無縁墓にプレートを付けて管理者に連絡を求めるが、回答はほぼない。同市は「墓は民法上の個人の所有物に当たり、墓地埋葬法で認められていても改葬は難しい」とする。

 一方、鹿児島市は17年度までに約3億円かけて無縁墓があった1745区画を整地した。宮崎市は無縁墓806基のうち598基、大分市は752基のうち259基を改葬。費用は新たな借り手からの管理料を見込むものの弔いの形は多様化し「納骨堂の需要が高く、借り手がつかないこともある」(鹿児島市)という。

 福岡市によると、全国では東京都と政令市の15都市が承継人を求めない墓地を設置しているという。同市も同種の合葬墓を平尾霊園(同市南区)に整備し、年間約600体を受け入れる予定だ。

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 墓を整理し再活用を

 浦川道太郎・早稲田大名誉教授(民法)の話 特に過疎地は墓の管理者がいなくなり、無縁墓が増える傾向がある。自治体は公営墓地の無縁墓化を防ぐため、管理料の未納が続く墓は合葬すると規約に定めたり、整地費用を考えて使用料を決めたりする必要がある。都市部では墓地の需要が増しており、無縁墓の返還と整理を進める「墓の再活用」が求められる。

=2018/11/28付 西日本新聞朝刊=

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