元挺身隊、元徴用工訴訟29日判決 三菱重敗訴の公算大 韓国最高裁

西日本新聞

 【ソウル曽山茂志】韓国最高裁は29日午前、第2次大戦末期に三菱重工業の軍需工場で強制労働させられたとして元朝鮮女子勤労挺身(ていしん)隊員と元徴用工の韓国人が同社にそれぞれ損害賠償を求めた2件の訴訟の上告審判決を言い渡す。同様の訴訟で新日鉄住金の敗訴が初めて確定した10月末の最高裁判決に続き、今回の2件も原告勝訴の公算が大きい。来月以降も元徴用工らが日本企業を相手に起こした訴訟の下級審判決が相次ぐ予定で、日韓の混迷がさらに深まりそうだ。

 支援団体などによると、元挺身隊員の原告は5人。いずれも名古屋市にあった三菱重工の航空機製作所で劣悪な環境で重労働させられたと訴えている。2012年に提訴。15年の光州高裁判決は三菱重工に対し計5億6200万ウォン(約5620万円)の支払いを命じ、三菱側が上告していた。原告の一人、梁錦徳(ヤンクムドク)さん(87)は「小学校の先生に『日本に行けばお金がたくさん稼げる』と言われたが、実際はまったく違った」と憤り、「ここまで長すぎた。今は勝訴を信じている」と強い口調で語った。

 一方、元徴用工の原告は遺族を含む計23人。広島市にあった三菱重工の機械製作所や造船所で強制労働させられたと主張している。13年の差し戻し控訴審で釜山高裁は元徴用工1人当たり8千万ウォンの支払いを三菱側に命じた。

 韓国では、三菱重工や新日鉄住金に対する別の訴訟の下級審判決が12月に2件、来年1月に1件予定されている。ほかに日本企業を相手取った係争中の訴訟が9件ある上、日本企業の敗訴確定を受けて約22万人とされる元徴用工や元挺身隊員、その遺族から新たな訴訟が相次ぐ可能性がある。

 日本政府は1965年の日韓請求権協定で元徴用工らの賠償請求権は消滅したとの立場で、新日鉄住金の敗訴が確定した際には「断じて受け入れられない」(河野太郎外相)と強く反発した。韓国政府は「司法の判断を尊重する」とする一方、対北朝鮮政策などで協力が不可欠な日本との決定的な対立を避けるため、李洛淵(イナギョン)首相を中心に政府としての対応策を検討している。

=2018/11/28付 西日本新聞朝刊=

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