恩人の遺志継ぎ…アメフットX1、九州初の昇格 福岡SUNSの夢、2年で結実

西日本新聞

 アメリカンフットボール社会人Xリーグ2部(X2)のオーパーツ福岡SUNS(サンズ)が来季、九州勢として初めて国内最高峰の1部「X1」に昇格する。創部2年目の今季X2西地区を制し、2日に神戸市王子スタジアムで行われたサイドワインダーズとの入れ替え戦に22-7で勝利。2017年1月に九州勢で初めてXリーグ加盟が認められてからの挑戦が2年で結実した。「地方チームの先駆けとして日本のアメフット界の未来を照らす存在」を目指し、競技が盛んではない九州で生まれた“太陽”が輝いた。

 歓喜に浸る選手たちの輪に一人の遺影が加わった。2017年1月に肺がんのため死去した桑原直樹氏(享年57)。九州のアメフットの発展と普及に尽力した西南学院大監督時代の姿だ。オーパーツ福岡SUNSの代表兼選手、吉野至氏(30)=現西南学院大監督=は当時ヘッドコーチとしてともに学生を指導した。

 「九州の大学を強化するには、強い社会人チームが欠かせない。私の考えに賛同したのが桑原さんだった」。九州にはXリーグのチームがなく、意欲を持った選手の受け皿が求められていた。関西大時代に学生日本一を決める甲子園ボウルで優勝を経験した吉野氏の情熱に桑原氏は動かされ、発起人として立ち上げの先頭に立った。

 05年から監督として西南学院大を率い「九州にフットボール文化を根付かせたい」と語った桑原氏は希望の種をまく途中で病に倒れた。“遺志”を受け継いだ吉野氏は、支店経済都市の福岡市を中心に九州で働く競技経験者に声を掛け、関西学院大や立命館大など強豪出身の有力選手が集まった。63選手のうち、関東と関西の大学出身者は27人。西南学院大など地元九州の大学出身者も「高いレベルでプレーしたい」と加わった。

 吉野氏は運営資金確保のためスポンサー探しにも奔走した。競技への関心が低い土地柄。手を差し伸べる企業はなかなか現れなかったが、発足から約半年後の17年6月、メインスポンサーが発光ダイオード(LED)照明器具製造・販売のオーパーツ(福岡市)に決まった。「2年で1部昇格、10年以内に日本一を狙う、と吉野君たちは夢のようなことを口にした。彼らの『熱』にほだされた」。同社の原野猛社長(53)が振り返る。

 所属する西地区の試合は主に関西で開催。関西を拠点とする他チームに比べて負担は大きく、年間約2千万円の経費の半分以上を交通費が占めるが、スポンサーの支えで乗り切った。来季は関東での試合が組まれる可能性があるだけに、空路移動も踏まえて約2倍の経費を見込む。「X1でさらにやりがいがあるフットボールができる」と吉野氏は意気込む。大輪の花を咲かせるのはこれからだ。

=2018/12/03付 西日本新聞朝刊=

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