失踪実習生過酷な実態 最低賃金未満67%、残業80時間超10% 野党分析「国報告と乖離」

西日本新聞

 外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法改正案を巡り、立憲民主党や共産党など野党7党派は3日、失踪した外国人技能実習生を対象に2017年に法務省が作成した聴取票を分析し、最低賃金未満で働いた実習生は67%に当たる1939人とする独自の集計結果を発表した。同省の調査で失踪動機に最賃以下を挙げた実習生は0・8%の22人しかおらず、調査と実態の乖離(かいり)が浮き彫りになった。野党は「法務省の調査報告は虚偽だ。審議の前提が崩れた」と批判し、改正案の廃案を求めた。

 法務省が聞き取り調査した聴取票は閲覧しか認められず、野党議員が11月19日以降、全2892人分を書き写した。失踪動機や月額給与、労働時間などが記載されており、これを基に野党は実習生の時給や残業時間などを算出した。

 野党の独自集計によると、1週間の平均労働時間は約45・8時間。「過労死ライン」とされる月80時間以上の残業をしていた実習生は10%の292人いた。月額給与は平均約10万8千円で、給与から差し引かれる光熱費などの控除額は平均約3万2千円だった。

 調査では、失踪動機は「低賃金」「低賃金(最低賃金以下)」「低賃金(契約賃金以下)」など10項目から複数回答で選ぶ仕組み。同省はこれまで「低賃金」3項目の総数1929人の失踪動機を「より高い賃金を求めて」とし、この回答が最多と説明していた。

 失踪動機は入国警備官が実習生から聞き取って書き込むことになっている。野党側は月額給与などを計算すれば、最低賃金以下の労働実態が明らかになるため、「『最低賃金以下』という選択肢を与えなかったのではないか」として、ずさんな調査だと指摘した。

 3日、記者会見した国民民主党の山井和則衆院議員は「法務省は人権侵害や法令違反を知りながら放置していた。技能実習制度を拡大する改正案を通せば、人権差別国家という批判を受けかねない」と批判した。

=2018/12/04付 西日本新聞朝刊=