戯曲「マリアの首」映画化へ 松村監督、20年夏公開目指す 田中千禾夫さん作 被爆後の長崎舞台

西日本新聞

 被爆した長崎を舞台にした戯曲「マリアの首」の映画化を、映画監督の松村克弥さんらが進めている。原爆でがれきとなった浦上天主堂(長崎市)の解体問題を背景に、焼け焦げたマリア像の首をひそかに運び出そうとするカトリック信者たちの物語。被爆75年になる2020年夏の全国公開を目指す。

 「マリアの首」は長崎市出身の劇作家、田中千禾夫(ちかお)さん(1905~95)が1959年に発表した。登場するのは、原爆症の夫を抱え街角で詩集を売る女性、夜は売春する看護婦など、困難とともに戦後を生きる信者たち。浦上天主堂が解体される前にマリア像の残骸を拾い集め、修復しようとする姿を描いた。これまでは舞台で上演されたが、映画になるのは初めて。

 松村監督は美術家、思想家として知られる岡倉天心の生涯を描いた「天心」、太平洋戦争中の特攻作戦を題材にした「サクラ花-桜花最期の特攻-」などの作品を手掛けてきた。「マリアの首」について「長崎の被爆を描いた作品は数多いが、マリアの首は壊す前の浦上天主堂に絞っている。独自の視点があり、映画化したら面白いと思った」と話す。

 映画の製作費は約8千万円の見込みで、官民の協賛やインターネットで資金を募るクラウドファンディングで賄う。出演者は未定。来年夏から冬にかけて、長崎で撮影する予定。

 松村監督は11月29日に県庁を訪ね、中村法道知事に協力を要請。「田中さんの思いを損なわないように、アート性のある作品を目指したい」と熱意を示した。

=2018/12/03付 西日本新聞朝刊=

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