増える外国籍児童、日本語支援模索続く 10年で1.5倍「心の支え」求め 母語多様、教員確保に課題

西日本新聞

日本語教育の授業を受ける金さん=福岡市中央区の春吉小 父のラム・クリシュナさん(左)と日本語で言葉を交わすユッダ君(中央)とルビナさん=4日午後、福岡市南区

 日本語を理解できない外国籍の子どもが増えている。文部科学省の2016年度調査によると、全国の公立の小中高校で約3万4千人に上り、10年前の1・5倍になった。授業についていけないだけでなく、言葉の壁によってクラスに溶け込めず孤立するケースも。学校現場では日本語教育の充実に向けた模索が続く。

 「バスはどんな仕事をしていますか」。教員の問い掛けに、小学1年の金娜延(キムナヨン)さん(7)は「人を乗せて運ぶ仕事をしています」と元気な声で答え、疑問文の使い方を学んだ。

 父親の仕事の都合で、4月に韓国から福岡市中央区に引っ越してきた金さん。普段は近隣の小学校に通いつつ、週1回、日本語教育の拠点校である春吉小(同区)に通っている。授業を終えた金さんは「日本語を覚えて友達と遊びたい」と笑顔で話した。

 福岡市は、九州でも特に外国籍の児童生徒が多い。公立小中学校で日本語教育を受ける児童生徒は、昨年度は317人で、3年前から約50人増えた。同市教育委員会は本年度、小学校に4校設けていた日本語教育の拠点校を、新たに中学にも4校設置。日本語教育の専属教員の採用も始めた。

 「うちの娘と息子にとって、日本語教育の教室は心のよりどころだった。感謝しています」。福岡市のネパール人ラム・クリシュナさん(35)は語る。

 長女のルビナさん(16)と長男のユッダ君(13)はネパールにいたが、15年のネパール大地震で住めなくなり、クリシュナさんが働く福岡市で一緒に暮らすことになった。

 それぞれ地域の中学と小学校に転入。日本語が全く理解できず、「授業中は何も分からずに座っているだけ、休み時間も独りぼっちだった」(ルビナさん)。

 ユッダ君は同級生のからかうような言動にも傷ついた。「学校に行きたくない」と思っていたが、姉弟で「頑張ろうね」と励まし合いながらほとんど休まずに学校に通い続けた。

 2人の支えになったのは、市教委が設けた週2回の日本語教育の時間だった。他の外国人と仲良くなり、授業も理解できるようになった。2人は「今は日本人の友達もできて、学校に行くのが楽しい」と喜ぶ。

 父のクリシュナさんは、子どもの成長に目を細めながらも、幼い頃に来日したユッダ君が、ネパール語で文章を書けないことが気がかりという。「日本とネパール、両方の文化を大切にする大人になってほしい」

 文科省によると、日本語教育の内容は各教委の裁量に委ねられている。熊本市教委も小中1校ずつの拠点校を設け、本年度は54人が教育を受けた。

 課題もある。16年度、全国の公立小中高校で日本語教育が必要な外国籍の児童生徒のうち、約2割が「担当教員がいない」などの理由で教育を受けられなかった。福岡市の場合、17年度に日本語教育を受けた児童生徒の国籍は31カ国・地域に上った。母語を理解できる教員をそろえるのは難しい。市教委の担当者は「子どもの国籍や人数は常に変わる。教員の配置は毎年手探りだ」と打ち明ける。

 政府は外国人労働者の受け入れ拡大を目指している。今後、国籍が多様化すれば、宗教上の理由で給食を食べられない子どもが出てくるなど、新たな問題が出てくる可能性もある。

=2018/12/06付 西日本新聞朝刊=

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