僕は目で音を聴く(30) 手話にも「方言」があるんです

西日本新聞

 よく聞かれるのですが、手話は世界共通ではありません。同じ日本語でも方言や世代によって表現が異なるように、実は国内の手話でも違いがあります。

 まず「日本語対応手話」と「日本手話」の2種類。主に文法が違います。例えば「私の名前は平本です」を手話に“訳す”と、日本語対応手話は「私の」「名前は」「平本」「です」という四つの手話を、日本語で発声する順序通りに表します。

 これが日本手話では「名前」「平本」「私」の順序で計三つの手話だけで表現し、「の」「は」「です」の助詞や助動詞を省きます。文法がばらばらなので、日本手話を使う人は、助詞を使ったり文章を作ったりするのが苦手になりがちなのです。

 家族全員が聞こえないろう者など幼少から自然と手話を学んだ人や、高齢者は日本手話がほとんど。私のように高校からろう学校(現特別支援学校)に入学するなど、途中から手話を覚える人は日本語対応手話を教えてもらう例が多いようです。ただ学校によって異なりますが。

 面白いのは、地方によっても違いがあり、各地のろう者に出会うと、見たことがない手話に出合うこともしばしばです。私は東京に住んでいたとき、インターネットの掲示板を通じて福岡在住の妻と知り合いました。彼女が「東京の手話を覚えたい」と連絡をくれたのがきっかけ。今、私の手話は関東と福岡の「混合版」です。

 例えば「コカ・コーラ」を関東では「コカイン(麻薬)を注射しているような動作」で表します。これが福岡だと「泡(炭酸)が出ているような動作」で表現します。この動作は、実は関東では「(値段は)いくら?」と問い掛ける手話と同一なので、知らなければ「え?」と戸惑うことになります。

 各国でも地方によって違いがある半面、日本語の五十音字をそれぞれ手話で表す指文字の形が、実は「aiueo」など英語のアルファベットと同じ-など共通点もあります。とても奥深い手話の世界。皆さんも学んでみてはいかがでしょう。
 (サラリーマン兼漫画家、福岡県久留米市)

 ◆プロフィール 本名瀧本大介、ペンネームが平本龍之介。1980年東京都生まれ。2008年から福岡県久留米市在住。漫画はブログ=https://note.mu/hao2002a/=でも公開中。

※平本龍之介さんによる漫画「ひらもとの人生道」第1巻(デザインエッグ社発行)が好評発売中!

=2018/11/29付 西日本新聞朝刊=

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