僕は目で音を聴く(31) 知らずに立ててしまう「音」

 今はないと思うのですが、昔、私はよく“うなって”いました。言葉にすると「ウーー」と聞こえるそうです。家族や妻から、よく指摘を受けました。ただ、おそらく耳が聞こえないからでしょうが、私自身はうなっていることに全く気が付かないし、自覚がないのです。気付かないうちに、癖になってしまうことがあるようです。

 聴覚障害者の場合、補聴器の音が漏れて「ピーッ」というハウリングを起こすこともあると聞きますが、本人には分からないことが多いようです。

 私がどうかなあと感じるのは、うなっていても、今まで学校や会社で私の周りにいた人たちからは全然、指摘を受けなかったこと。もしかしたら「聞こえないからしょうがないだろう」と思うのかもしれないし、あるいは「言うのは(障害のある人に)失礼かな」と考えてしまうのかもしれません。でも、私自身が知らず知らずのうちに「うるさい声」を発しているのなら、周りに迷惑を掛けるのは嫌ですし、やっぱりはっきり指摘してほしいです。

 友人の一人は、笑うとき、必ず最後に「あーーー」と抜けたような声を出していました。例えば映画館で大笑いしたときや、暗い夜道ではすごく響く声でした。私はそのたびに「しーー」と身ぶり手ぶりで伝えていました。気が付いていたようでしたが、その癖は今でも直っていません。

 一方で聴覚障害者に限らず、足音や戸棚やドアを閉める音など、誰もが発する音があります。私は自分なりに気を付けているつもりですが、周りからよく「うるさい」と言われます。「怒ってる?」と勘違いされることさえあります。聞こえない人が必ずしもそうではないでしょうが、私は音に鈍感な方なのでしょう。でもこんな「日常の音」に関して指摘されると正直、ストレスも感じます。日々の動作をずっと気にしすぎて神経質にもなりますので…。障害に端を発する配慮の在り方は人それぞれで難しいと考えさせられます。

 (サラリーマン兼漫画家、福岡県久留米市)

 ◆プロフィール 本名瀧本大介、ペンネームが平本龍之介。1980年東京都生まれ。2008年から福岡県久留米市在住。漫画はブログ=https://note.mu/hao2002a/=でも公開中。

※平本龍之介さんによる漫画「ひらもとの人生道」第1巻(デザインエッグ社発行)が好評発売中!

=2018/12/06付 西日本新聞朝刊=

関連記事

PR

PR