医療的ケア必要、歩ける人15% 県が初の実態調査 寝たきり以外3割 重度者含め対応検討

西日本新聞

 在宅でたん吸引などの医療的ケア(医ケア)が必要な人たちを対象に県が本年度、初めて行った実態調査によると、約3割が寝たきりではないことが分かった。重い障害や難病ではない人も少なくないとみられ、一人で歩ける人も約15%いると判明。重度者向けの福祉サービスは比較的整っている半面、健常者と同じように元気な「歩ける医ケア児・者」への支援は制度のはざまで遅れており、県は重度者も含め本人や家族へのサポート策を早急に具体化する。

 14日の県議会厚生労働環境委員会で県が公表した。調査は医ケアが必要な人たちの暮らしぶりを把握し、医療や福祉、教育面での支援策を検討する目的で6~7月に実施。計292人から回答があり、うち18歳未満が136人(46・6%)、18歳以上は147人(50・3%)。

 回答者のうち施設入所者の10人を除く282人に現在の体の状態などを聞いたところ、姿勢については「寝たきり」が185人(65・6%)だった半面、「自分で座れる」「つかまり立ちができる」「一人立ちできる」が計83人(29・4%)。移動に関しては「一人では移動できない」が195人(69・1%)と最も多かったものの、「一人歩きができる」も42人(14・9%)に上った。

 必要な医ケアはたん吸引が約7割、経管栄養も6割強。人工呼吸器を着けている人は4割近くいた。主な介助者は母親が最も多く約6割。たん吸引の頻度は1日(24時間)に12回以上と答えた人が4割を超えた。「利用しやすくなれば利用したいサービス」は短期入所が最多の約4割だった。

 医ケアが必要な人はこれまで、手足などの動きが不自由で物事を理解するのに遅れがある「重症心身障害児・者」に多いとみられてきたが、県は「そうした重度者ではない『歩ける医ケア児・者』が各地に一定程度いる」(担当者)と判断。医ケアに対応する短期入所施設はもともと重度者向けの法制度に基づいてサービスを行っていることなどから、重度でない場合は利用できないケースが多いため「重度者も含め、本人のケアで片時も離れられない家族らの負担を軽減する施策を充実させたい」としている。

【ワードBOX】医療的ケア

 たんの吸引や管を使った栄養注入(経管栄養)など、日常的な暮らしを維持するために必要な医療行為。医師や看護師、一定の研修を受けたヘルパーらにしか認められていない。医療が進歩し、気管切開や胃ろうなどの手術を受けて必要になる子どもが増え、主に自宅で家族から24時間介護を受けている。厚生労働省の推計によると、こうした医療的ケア児は全国で1万7058人、福岡県で796人(2016年10月時点)。

=2018/12/15付 西日本新聞朝刊=

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