いじめ自死「真摯に対応を」 遺族が教組学習会で講演 人吉

 人吉球磨地区教職員組合の学習交流会が8日、人吉市教育会館であり、「いじめと自死について考える」の演題で、当時中学3年の息子を亡くした父親(58)=和水町=が、自身の体験をもとに学校や教育委員会に求められる対応について講演した。

 父親の息子は2012年に自宅で命を絶った。遺書はなかった。当時、いじめ防止対策推進法はまだなく、「学校は『いじめはなかった』と最初から否定して、調査に消極的だった」と父親。学校に通い、生徒へのアンケートや第三者委員会の設置を何度も呼び掛けたという。

 「学校や教育委員会は、遺族に真摯(しんし)に向き合ってもらいたい」と強調。父親の要請で学校が行ったいじめ調査の報告書には、おわびや努力目標ばかりで、いじめに関する記載はなかった。教育長が当時の町議会で「いじめがなかったというのがゆるぎない私の信念」とした答弁にも、裏切られたような気持ちになったという。

 第三者委が14年に出した調査報告書では、首を絞められ失神した、生徒数人がかりで制服のズボンを脱がされかけた-など11件のいじめを認定していた。自死の翌月に「いじめがなかった」と結論づけた学校や教委の対応についても「早すぎる」とし、遺族への対応が不十分だったと批判した。

 父親は「学校や教委側の対応次第で、遺族も気持ちがやわらぐ。自分の子どもが亡くなっているんです。何が起きたか知りたい、その思いに応えてほしい」と訴えた。

 講演後の意見交換会では、「自分のクラスの子どもたちを思い浮かべた」と涙を流す教師も。「これまでの自分の対応は、本当に適切だったろうかと自問した」「ひとりひとりの生徒に向き合う余裕が私たちには必要」などと感想を伝えた。

=2018/12/15付 西日本新聞朝刊=

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