あおり運転摘発2.5倍 九州前年同期比 取り締まり、捜査強化

西日本新聞

 神奈川県の東名高速道路で昨年6月、あおり運転で夫婦が死亡した事故を受け、九州であおり運転の摘発が急増している。九州の7県警はあおり運転の典型である、前方の車との距離を極端に詰めたとして道交法違反(車間距離不保持)容疑で今年1~10月に1003件を摘発、前年同期の2・5倍に上った。取り締まりや捜査を強化した結果とみられる。

 「普段通り運転していたのに何が何だか分からなかった」。50代のタクシー運転手は6月、福岡市博多区であおり運転の被害に遭った。軽乗用車が前方に割り込んで急ブレーキをかけたため、とっさにハンドルを切り、別の車と衝突した。自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)などの容疑で逮捕された男は、「いらいらしていて、タクシーに追い抜かれたので頭にきた」と供述したという。

 あおり運転について、警察庁は(1)前方の車に著しく接近(2)不必要な急ブレーキ(3)隣接車への極端な幅寄せ-などを挙げる。東名高速道の事故を受け、同庁は1月、道交法だけでなく刑法の暴行罪なども適用して取り締まり、悪質な場合は積極的に免許停止にするように全国に通達。九州では福岡、佐賀など4県警がヘリコプターによる監視も実施している。

 同庁によると、今年10月末までに車間距離不保持で摘発したのは1万873件(前年同期比5114件増)で9割は高速道路上だった。九州では1003件(同613件増)で2015年以降最多。内訳は福岡669件▽熊本110件▽佐賀93件▽大分74件▽鹿児島41件▽宮崎、長崎8件。

 東名高速道路の事故をきっかけに、ドライブレコーダーが普及し、あおり運転の「証拠」が集まりやすくなった。だが、「映像から車間距離や車の速度が立証できないと摘発は難しい」(福岡県警)ため、摘発の多くは「現行犯」という。

 チューリッヒ保険(東京)が5月、全国の2230人に行った調査では、7割が「あおり運転された経験がある」と答えた。経験者のうち警察に通報したのは1・8%だった。

 九州大の志堂寺和則教授(交通心理学)は「運転中の感覚は千差万別で、ささいなきっかけで加害者にも被害者にもなり得る。摘発で表面化しているのは氷山の一角。交通ルールを守って、冷静に運転することが大切だ」と強調する。

=2018/12/15付 西日本新聞朝刊=

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