パリ協定ルール 対策を強め温暖化防止を

西日本新聞

 国連の気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)が、2020年から始まるパリ協定の実施ルールを採択した。

 途上国を含む全ての国が共通ルールの下で、温室効果ガス削減に取り組む。国際協調態勢を破綻させず、粘り強い議論で合意に至ったことを評価したい。

 協定は15年12月のCOP21で採択されており、わずか3年でルール策定にこぎつけた。現行の京都議定書の時をはるかに上回る速さで準備を終え、運用に入る。国際社会の危機感がそれだけ高まっている証拠だろう。

 国際社会が団結して温暖化対策に取り組む際、最大の障壁となるのは先進国と途上国との「歴史的責任」の違いである。

 途上国は、より重い責任がある先進国とは異なる緩いルールの適用を求めた。しかし、最終的に削減目標と進み具合などを厳しく検証する共通ルールを受け入れた。達成状況のチェックについては、途上国の能力に合わせて柔軟な対応も認めたが、これは合意形成を優先した現実的な判断と言えよう。

 ルール策定で、協定を運用する土台がほぼ整った。この上に各国がどれほど実効性のある対策を積み上げることができるのか。協定の成否は、その一点に懸かっている。

 協定は気温上昇を産業革命前から2度未満、できれば1・5度に抑える目標を掲げるが、現在の削減目標のままでは達成できない。このためCOP24の期間中、海面上昇の影響を受ける島しょ国などが、各国に削減目標の引き上げを呼び掛けたが、大きな流れとはならなかった。温暖化による深刻な影響を警告する報告は数多い。各国は削減強化を早急に検討すべきだ。

 途上国が対策を進めるには、先進国による資金支援が欠かせない。実施ルールは先進国に、可能であれば2年ごとに将来の拠出額を示すよう求めた。米国のトランプ大統領が協定離脱と資金援助の停止を表明し、途上国の間に疑心が広がったことも影響したという。

 中国に次ぐ世界第2位の温室効果ガス排出国の離脱が、協定の実効性に与える影響は計り知れない。国際社会は米国に対して離脱撤回の働き掛けを強める必要がある。同盟国の日本が果たすべき役割でもあろう。

 安倍晋三首相は地球温暖化対策を先導する強い意向を示しているが、残念ながら、COP24における日本の存在感は希薄だった。協定に基づく長期戦略の策定も遅れている。

 「経済成長と脱炭素化を両立させる」。首相が国会などで繰り返し語ってきた理念を実現するには、長期戦略に対策強化を盛り込むことが肝要だ。

=2018/12/18付 西日本新聞朝刊=

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