僕は目で音を聴く(32) 携帯のなかった時代には

西日本新聞

 ポケットベル(ポケベル)が来年からサービスを終了するとのこと。私がポケベルを持ったのは高校2年、携帯電話は高3の時でした。聞こえないと電話は使えないので、昔、聴覚障害者にとってはかなり不便で苦労しました。

 子どものころ、個人的な通信手段はもっぱら手紙でした。相手から返事が来るまで1週間かかることもありました。女の子に手紙で告白をした経験もあります。1週間、ドキドキしながら待ったことは忘れられません(結局、失恋しました)。

 その後、ファクスが普及したので、手紙より返事は早く来るようになりました。友人に送りまくって、よくインキフィルムを切らしたものです。待ち合わせも、聞こえない相手と場所と時間をファクスで伝え合いました。待ち合わせ場所で1時間も待って、諦めて帰ったこともありますが…。

 駅によっては伝言板を設置しているところもあり、中学時代は仲の良かった友人とメッセージを残し合いました。相手の電車が遅れたり、寝坊したりした場合は「先に行くぞ」と書き込み、笑わせようとイラストを描いたことは良い思い出です。

 ポケベルが出たときは、公衆電話で番号を打てば短いメッセージも送れたので、連絡や意思疎通がとてもスムーズになり、大変喜ばしかったです。ただしメッセージの送受信にはお金がかかり、相手からたった2文字で「バカ」と受信しただけで、こちらも料金を支払う羽目になったのは欠点でしたが。

 携帯電話を買ったのは、高校の友人の中では私が最初だったのではないでしょうか。スクリーンが小さく、メッセージは20文字程度しか送信できませんでしたが、ポケベルよりも使いやすかったのは言うまでもありません。それから携帯でインターネットも使えるようになり、現在はスマートフォンに進化。ノーマライゼーションが社会の理念となり、誰もが手元でさまざまな情報収集ができます。技術の進歩に、本当に感謝しています。

 (サラリーマン兼漫画家、福岡県久留米市)

 ◆プロフィール 本名瀧本大介、ペンネームが平本龍之介。1980年東京都生まれ。2008年から福岡県久留米市在住。漫画はブログ=https://note.mu/hao2002a/=でも公開中。

※平本龍之介さんによる漫画「ひらもとの人生道」第1巻(デザインエッグ社発行)が好評発売中!

=2018/12/13付 西日本新聞朝刊=

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