【聴診記】自分の最期は自分で決めたい

西日本新聞 医療面

 「私たちのことを私たち抜きに決めないで」。障害者の権利を論じる際に耳にしたフレーズが、在宅医療・介護のあり方を議論する場で使われていたのは新鮮だった。

 11月、福岡市で開かれた「第9回九州在宅医療推進フォーラム」。認知症当事者を含め、医療・福祉関係者など延べ1300人が参加。「何も分からない」「決める力はない」などとされていた認知症や悪性疾患などで終末期にある人の意思と選択を、医療やケアに生かす方法を模索した。

 終末期の医療・ケアを当事者とその家族、医療・介護職が繰り返し話し合って決める「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」が提唱されている。医療側の力が強すぎれば、患者や家族が置き去りにされてしまう。一方で、あらゆる場面で当事者意識を持ち、現実的な選択をする力を育てる市民教育も必要になる。そんな問題提起があった。

 人生最期の過ごし方を巡っては、乳がんで死亡した大分市の女性=当時(57)=の遺族が余命宣告を受けなかったために「余命が充実したものになるよう手厚い配慮ができなかった」として通院先の病院に慰謝料を求める訴えを起こした。それほど「自分の最期は自分や家族で選び、決めたい」という思いは高まっているのだろう。

 フォーラムでは「福岡宣言2018」として「いかなる健康状態であっても、自ら生き方を選択でき、住み慣れた地域で自分らしく生きることが可能なまちを作ろう」「本人の生き方、価値観、想(おも)いをより深く理解し共有しよう」などとうたった。宮崎市や熊本市など、終末期の過ごし方について意思表示するノートを作り、市民に配布する自治体も増えつつある。自分や家族の最期と向き合う作業はもちろん、終末期の選択肢を増やす地域づくりも求められている。

=2018/12/17付 西日本新聞朝刊=

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