1票の格差 「合憲」判断に安住するな

西日本新聞

 最高裁が「合憲」と判断したからといって、格差是正の取り組みをおろそかにしてはならない。むしろ、国会は司法から不断の努力を要請された-と受け止めるべきだ。

 「1票の格差」が最大1・98倍だった昨年の衆院選は違憲として弁護士グループが選挙無効を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷は「合憲」と判断し、請求を退けた。

 最高裁は従来、都道府県にまず1議席を割り振る「1人別枠方式」が格差の要因として国会に廃止を求めていた。

 これに対し、国会は2016~17年の選挙制度改革で1人別枠方式に代わって、都道府県の人口比を反映しやすい議席配分方法「アダムズ方式」の導入を決めた。新たな議席配分は20年の国勢調査に基づいて整えることになっている。

 それまでの措置として国会は定数を「0増6減」し、97小選挙区の区割りも変え、格差を2倍未満に収まるようにした。

 こうした一連の取り組みを最高裁は「平等の要請に応えつつ、国会は段階的な是正を図った」と評価し、「違憲状態」は解消されたと結論付けた。

 しかし、国会や各政党はこれで「ひと安心」と一服している場合ではない。そもそも「1票の格差」訴訟で過去3度も最高裁から「違憲状態」と宣告される事態が異常だったのだ。

 憲法の番人から何度もイエローカードを突き付けられ、2倍未満で何とか帳尻を合わせ、違憲状態の解消にこぎ着けた-というのが実態ではないか。

 主権者が行使する1票の価値に格差があってはならない。「法の下の平等」を定めた憲法に照らせば自明の理である。

 にもかかわらず、政党の党利党略が絡み、国会の動きは鈍かった。今回も大法廷の結論は「合憲」だが、15人中4人の裁判官が個別意見を付け、うち2人は「違憲」の反対意見だったことを忘れてはならない。

 東京一極集中が今後も進行して地方の人口流出に歯止めがかからなければ、「1票の格差」は拡大する恐れがある。不断の是正努力が国会に求められるのは当然であろう。

 その意味で最高裁が今回、投票価値の平等は選挙制度を決める絶対の基準ではなく、民意の的確な反映との調和を図る必要がある、と改めて指摘したことに注目したい。

 「1票の格差」は参院選も同様の問題を抱える。自民党には憲法を改正して選挙区の合区を解消すべきだという意見が根強い。民意の的確な反映とはどうあるべきか。二院制の機能・役割分担も踏まえ、衆参両院で抜本的な改革を検討すべきだ。

=2018/12/25付 西日本新聞朝刊=

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