五島市職員、落語織り交ぜ出前講座 認知症予防へ「笑いで元気に」

 退屈になりがちな行政の出前講座を笑いに変える“達人”がいる。五島市長寿介護課で認知症予防に取り組む小川明美さん(50)。地元劇団での活動経験を生かし、講座の合間にこれでもか、これでもか、というほど小話や落語を織り交ぜる。「笑いは元気の源。笑いで元気に」が信条だ。

 今年最後の講座の20日、渾身(こんしん)の新作を披露した。「老婆(ローバ)の休日」。病院を訪れた高齢の女性が若い医師の診察を楽しみにする設定だ。

 「下の方を見せて」と若い医師。恥じらう女性の様子に勘違いを察した医師が「舌なんですが」とあきれ顔で返す-。講座会場の公民館に集まった老人会の男女約40人が腹をよじらせる。約1時間に及ぶ講座の中、小川さんは何度もドッカンドッカンと笑いを取った。

 きっかけは、知人の誘いで地元劇団に入ったことだった。事務をする傍ら舞台の途中の小話を受け持ち、落語や人情話など多様なレパートリーを五島の方言でこなした。6年前に退団したが、緊張感を解いたり、関心を引きつけたりする場面で、その話芸が活用できると考えたという。

 活動は高齢者だけではなく、認知症患者をサポートする側の企業や学校にも広がる。人と人とのつながりが残るといわれる五島でも、少子高齢化の進行で、住民一体で地域を見守る取り組みがいっそう大事になった。10月からは、徘徊(はいかい)する認知症患者の早期発見につなげようと、外出時に靴や衣服に貼る「SOSステッカー」の配布を始めた。患者を支える市民サポーターは約2600人に達した。

 「語り合って笑うのが、一番の認知症予防。講座に集まった人がふれあい、見守るきっかけになればうれしい」。小川さんは来年も新作を編み出し、地域の絆をつなぐ。

=2018/12/26付 西日本新聞朝刊=

長崎県の天気予報

PR

PR