シャトルの最期見撮る 北九州市のアマチュア写真家 右半身に障害、工夫し定点観測

西日本新聞 北九州版

 昨年12月に閉園した北九州市八幡東区のスペースワールド(SW)跡地で、シンボルだったスペースシャトルの実物大模型など遊具施設の撤去作業を撮影する地元アマチュアカメラマンがいる。病気で足が不自由になり、リハビリを兼ねて本格的にカメラを始めた上川高秋さん(68)。数々の苦難を乗り越えたシャトルの歴史に自身を重ね合わせるように、シャッターを切り続けている。

 上川さんは3年前に脳梗塞を患い、右半身に障害が残った。日常生活をこなせるほどには回復したものの、膝の曲げ伸ばしが難しく、椅子から立ち上がる時などにはつえを使っている。

 身近な被写体を探していたところ、SW閉園の話が飛び込んできたが、敷地は高いフェンスで囲われ、中を撮影するには地面との隙間にレンズを差し入れるしかない。しゃがむことができない上川さんは「フェンスの上から敷地内を見ることができる場所を探そう」と考えた。

 辺りを歩き回りようやく見つけたのが、そばにある大型商業施設の駐車場の一角。シャトルを見下ろす位置にあり、敷地全体も見渡せる。緊急時用の土のうに不自由な右足を置き、左足で少し踏ん張りながら手を伸ばせば、転落防止用の金網の上からレンズを出すことができた。

 それからはひたすら撮影の日々。ジェットコースターや観覧車など、大勢の来園者が楽しんだ遊具が次々に解体されていく中、特に寂しさを感じたのが、2度の重大事故を挟みながらも、計39回の最多飛行を成し遂げたスペースシャトル「ディスカバリー号」模型の解体作業だった。

 大型重機を使った解体は11月19日に始まり、翌20日午前には骨組みが丸見えの状態に。ミシミシという聞き慣れない音が聞こえ始め「何かが起こるぞ」と身構えた瞬間だった。機体が一気に崩れ落ち、ごう音が響き渡った。粉々になった機体を前に「ぽっかりと穴があいたような感覚がした」と振り返る。

 あれから1カ月。オレンジ色の外部燃料タンクや補助ロケットも取り除かれ、12月25日、シャトルがあった場所は完全な更地になっているのが確認できた。

 跡地は来年3月までに全遊具を撤去、2021年内に新たな複合施設が開業する。「どんな場所に変わっていくのか、見届けたい」。寂しさを押し殺すようにつぶやくと、慣れた手つきで金網の上にカメラを伸ばし、シャトルがあった場所にレンズを向けた。

=2018/12/26付 西日本新聞朝刊=

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