僕は目で音を聴く(33)聴者とのフットサルの思い出

 関東に住んでいたとき、「横浜サンダークラブ」というフットサルチームのキャプテンを務めていました。聴者、ろう者、外国人など誰でも楽しめるチームにしようと、友人からの声掛けで始まったチームです。

 ご存じの通り、サッカーのミニバージョンという感じで女性も参加しやすいスポーツ。ただ聞こえる人、聞こえない人が一緒にプレーするのは生やさしいものではありませんでした。

 試合は各自の好きなプレーだけではうまくいかないし、連携が大事です。ただ聴者は味方からの指示を主に耳で判断するのに対し、ろう者は目で見るしかありません。なので、チーム全体としてできるだけ手を振ったり、はっきり発声できなくても声を出したり、アイコンタクトを増やしたりしてボールを回すように意思統一しました。

 ろう者が、常に動き続ける味方と敵の位置を目だけで把握していくのは困難です。単にボールを受けて、その時に見えている味方にパスをするだけでなく、常に2秒、3秒後の周りの動きを具体的にイメージしておいて、その“未来位置”に向かってパスをし、味方も連動して動き回る戦法を磨きました。聞こえないとどれだけ難しいか、試しに聴者に耳栓をしてもらったことも。ただ100円ショップで買ったもので、完全に音を遮断できず「聞こえるよ」と笑って言われて残念でしたが…。

 練習後、ファミレスなどに寄ると自然に聴者とろう者が分かれて座ったり、聴者の話の輪に入れないろう者が何人もやめてしまったり、苦い思い出もあります。みんなで問題意識を持って筆談ボードを用意するなど、積極的にコミュニケーションを深めていきました。

 約半年に1回試合に出て、最後は優勝も経験。そのときのみんなの笑顔は忘れられません。福岡に引っ越しする際には、約20人のメンバーがお別れ会も開いてくれました。兄弟のようなすばらしい仲間と会うのが毎回楽しみで、私の一つの居場所だった5年間。本当にありがとうという気持ちです。

 (サラリーマン兼漫画家、福岡県久留米市)

 ◆プロフィール 本名瀧本大介、ペンネームが平本龍之介。1980年東京都生まれ。2008年から福岡県久留米市在住。漫画はブログ=https://note.mu/hao2002a/=でも公開中。

※平本龍之介さんによる漫画「ひらもとの人生道」第1巻(デザインエッグ社発行)が好評発売中!

=2018/12/20付 西日本新聞朝刊=

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