佐世保史談会が“還暦” 月例会や機関誌 多様性に富む研究

 佐世保市一帯の郷土史を研究している「佐世保史談会」が創立60周年を迎えた。「歴史が浅い」と言われがちな佐世保だが、会員は近現代から古代に連なる歴史の地層に光を当て、月例会や機関誌で研究成果を発表している。中島真澄会長(78)は「まだ足りないものが多い。会員がわくわく感を持って、活動の幅を広げていきたい」と節目に思いを新たにする。

 佐世保史談会は1958年10月に発足。会員は7人で、佐世保商工新聞の江口礼四郎氏が会長を務めた。初期は教員OBが会を引っ張り、親和銀行やSSK、佐世保玉屋などの主要企業が後押しした。現在は30代から80代まで、さまざまな肩書の53人が所属している。

 1年の研究成果を発揮する場が、毎年秋頃に発行する機関誌「談林」。その名前から談論風発の気概が伝わる。初代会長の江口氏は創刊号に史談会の目指すものをしたためている。

 《ただコツコツと、一つの話題、一塊の碑物にも心を配って探究し、そのことが愛する郷土の、何かの足しになり、将来の足掛かりとでもなるなら…》

 その精神は後進に受け継がれている。考古学が専門の中島会長は「道ばたの石ころ一つにも歴史がある。研究する素材は山んごとある」と語る。

 大切にしているのはフィールドワーク。「自分の足で素材を探し、聞き取りをして、参考になる本を読み込む。ネットでもある程度のことは調べられるが邪道だと思う。ネットに頼るようでは、史談会は発展しない」

 談林には会員の投稿が競い合うように掲載されている。11月発行の創立60周年記念号は「相神浦太平記」「面白すぎるフロイスの日本史」「佐世保海軍通信隊史」「佐世保地域における新田干拓技術」などテーマが多様性に富む。

 近年は古文書を解読できる人が会員になり、研究領域が広がった。毎号、6、7人の編集委員が原稿を校正し、投稿者を指導することもあるという。

 目下進めているのは「佐世保人物事典」の編集。政治や経済、教育、文化をはじめ、地域社会に足跡を残した450人程度を取り上げる。来年春ごろに完成させる計画だったが、人数はかなり増える見通し。

 中島会長は「紹介する人物を知る人がいなくなりつつあるので、今しかできない仕事」と自負している。

=2018/12/28付 西日本新聞朝刊=

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