「被災体験、風化させまい」 熊本地震バスツアー 阪神、東日本の語り部ら70人が視察

西日本新聞

 熊本では初めて開催された「第4回全国被災地語り部国際シンポジウム」(実行委員会主催)の参加者が、熊本地震の被災地をバスで巡った。阪神大震災や東日本大震災の被災地で活動する語り部たちは、風化にあらがおうと被災体験の伝承に心を砕く県内有志の言葉に耳を傾けた。

 「災害を風化させないための語り部バス」と銘打ったツアーは、シンポジウムの翌9日に開催。県内在住者を含む約70人が前震の震源に近い御船町の施設や、南阿蘇村と益城町に残る地震の爪痕などを視察した。

 御船町では、閉園となった町立高木保育園で園舎の亀裂や傾きを見た。人けのない保育室には、子どもたちの集合写真が飾られていた。元園長の上村いつ子さん(60)と町議の福永啓さん(56)が「地域住民たちはマラソン応援のように、道路にずらりと立ち尽くした」などと発生時の様子を説明。宮城県南三陸町の語り部でホテル勤務の伊藤文夫さん(75)は「被災者は私たちだけではない。熊本で頑張っている皆さんの思いを受け止め、私の力にもしたい」と語った。

 南阿蘇村の東海大阿蘇キャンパスや、阿蘇大橋の崩落現場では、県職員がガイドを担当。阿蘇キャンパス1号館とその直下を走る断層について、県構想の「震災ミュージアム」の中核拠点にすると紹介。益城町では町教育委員会の案内で敷地内に右横ずれと左横ずれの断層がV字状に表出した民家を見学した。

 1999年の台湾大地震を伝える震災博物館「921地震教育園区」の解説員、黄嘉慧さん(40)は民家の敷地も保存することを知り「大きな施設にまとめるのではなく、現地でそのまま残すところがユニークだ」と感心した。

 95年の阪神大震災で震源となった野島断層の露出部分を展示する「北淡震災記念公園」(兵庫県淡路市)の総支配人で語り部でもある米山(こめやま)正幸さん(52)はツアーを振り返り「同じ地震と言っても被害のありようはそれぞれ違う。熊本の教訓を伝える語り部が育ってほしい」と期待する。

 県内最大の仮設団地「テクノ仮設」を紹介した自治会連合会代表の吉村静代さん(68)は「兵庫、東北の方々にはこれまでも(課題解決のために)知恵を頂いてきた。語り部活動でもネットワークを広げ、熊本地震をいかに伝えていくかを考えていきたい」と意気込んでいた。

=2018/12/28付 西日本新聞朝刊=

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