【街 みらい】北九州市政点検 ミクスタ揺れる成否 ギラ降格で減収、運営費重く

西日本新聞

ミクニワールドスタジアム北九州。街のにぎわい創出やギラヴァンツ北九州のJ1昇格を後押ししようと建設された 拡大

ミクニワールドスタジアム北九州。街のにぎわい創出やギラヴァンツ北九州のJ1昇格を後押ししようと建設された

 ミクニワールドスタジアム北九州(ミクスタ、小倉北区浅野)は、プロサッカー・ギラヴァンツ北九州の本拠地として2017年2月に開業した。建設費の総額は約100億円。北九州市はこのうち約70億円を投じ、国内最高峰のJ1の試合開催などに対応した約1万5千人収容の大スタジアムを完成させた。北九州市長選に4選を目指し立候補を表明した現職北橋健治氏(65)は、建設を進めた立場。これに対し、共産党が推薦する新人永田浩一氏(53)は「大型箱物行政の象徴」と争点に掲げ、対立軸を鮮明にする。

 ミクスタは、ギラヴァンツのJ1昇格を後押しするとともに、JR小倉駅北側の「にぎわいづくりの核」としてスポーツ競技やイベントを実施するため、市が主導して建設した。ただ、開業までの道のりは決して平たんではなかった。

 計画段階の建設費は約89億円。しかし、労務費や資材高騰などで予算の積み増しが繰り返され、額は膨らんだ。北橋氏は慎重な議論を約束。専門家などによる2度の公共事業評価を経て、当初完成予定の15年度から17年2月にずれ込んだ。市は、拠出した建設費のほぼ全額を市債で賄い、毎年2億2千万~2億5千万円を17年度から30年計画で返済している。

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 開業後も誤算は続いた。ギラヴァンツの成績不振だ。J2にいたギラヴァンツは、開業年のシーズンにJ3降格。18年シーズンは、J3全17チーム中最下位に沈んだ。「供用開始前のJ3降格決定は正直、想定外だった」。市の担当者は明かす。

 降格は、市の収入減につながる。市によると、J3の年間の試合数はJ2より5試合少なく、観客数の動員率低下などで年間340万円の減収になるという。開業年の観客数は、全試合で9万5023人(平均5939人)だったが、18年は7万2014人(同4501人)に落ちた。

 ミクスタ全体の運営実績も、順調とはいえない。17年2月~18年1月までの利用者数は19万3852人(目標21万人)で目標達成率は92・5%。市の担当者は「とにかく降格が響いた」と嘆く。利用日数は目標の100日をクリアし、106日だった。

 こうした現状に、運営費が重くのしかかる。使用料とネーミングライツ(命名権)料で年間約5千万円弱が市の収入になるが、指定管理費と借地料で約1億5千万円の支出がある。

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 北九州市立大教授が18年3月に実施した市民意識調査(1062人回答)。ミクスタでギラヴァンツの試合を観戦したいかの問いに「観戦するつもりはない」と回答した人が58・4%(620人)に上った。市民のプロサッカーチームに育つため、ファン層の開拓は最重要課題だ。

 市は18年度、ギラヴァンツの運営支援のため5千万円の補助金を拠出した。北橋氏は19年度について「結果を踏まえ、改めて協議する」としており、これからの支援の在り方について論議を呼ぶことは必至だ。

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 来年1月(13日告示、27日投開票)の北九州市長選の告示まで、1カ月となった。今、北九州市政を巡る諸課題はどんなものがあり、現状はどうなっているのか。随時掲載で点検していく。

=2018/12/14付 西日本新聞朝刊=

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