プラごみ削減 再利用と新素材開発急げ

西日本新聞

 暮らしにあふれるプラスチックは、安くて丈夫だが、ごみになると処理が難しい素材だ。

 リサイクルにはコストがかかる。プラごみの一部は海に流れ込んで微粒子となり、生態系に及ぼす影響が懸念されている。海産物を介して人体に取り込まれる不安もあるという。

 環境省が、プラスチック資源循環戦略案をまとめた。年度内に内容を決定し、来年6月に大阪で開催する20カ国・地域(G20)首脳会合で、政府方針として表明するという。

 日本は米国とともに、先の先進7カ国(G7)首脳会議で承認された「海洋プラスチック憲章」に署名せず、国際社会から批判を浴びた。「対策に後ろ向き」というイメージを拭い去るには、まずは循環戦略の実効性を高め、国内の対策を着実に進めることが肝要だ。

 戦略案には、レジ袋の有料化義務付けや、ペットボトルなどの使い捨てプラスチック排出量を2030年までに25%削減することなどが明記された。

 使い捨てプラスチックの1人当たり排出量で、日本は米国に次いで世界第2位とされる。削減するのは当然だが、では、どの年を「基準」にして25%減らすのか。レジ袋有料化はコンビニも含め、すべての小売業に義務付けるのか。環境省は削減戦略の具体的なロードマップを早急に示す必要がある。

 国内のプラごみ排出量は、年間約900万トンに上る。うち100万トン以上のリサイクルを海外に頼っているが、中国に続いて、「資源ごみ」の輸入制限の動きが各国に広がりつつある。今後、国内の処理能力では対応が困難になる恐れがある。

 プラごみの有効利用率は8割という高い水準に達しているとはいえ、主な手段は、焼却して生じる熱を発電などに充てる熱回収である。別の製品に再生するという本来の「リサイクル」とは言い難いのが現状だ。

 植物などを原料とするバイオマス素材の活用拡大も戦略案には盛り込まれている。バイオマス素材に限らず、製造段階から再生しやすい素材を選び、プラスチックの使用を減らすことも大切だ。再生資源の活用を促進する制度や仕組み作りも検討すべきだろう。

 再生可能な新素材の開発は新たな産業の創出にもつながる。国は積極的に民間や大学の研究開発を後押ししてほしい。

 大量消費と大量廃棄を容認している私たち市民も、ライフスタイルや意識の変革が欠かせない。買い物ではエコバッグを使う。使い捨てプラスチックではなく、再生可能な素材を使った商品を積極的に選ぶ。そんな風潮を社会に定着させたい。

=2018/12/29付 西日本新聞朝刊=

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