「神石」ネットで話題、パワースポットに 神功皇后の伝説残る 福岡県糸島市

西日本新聞

 福岡県糸島市は古代から栄え、魏志倭人伝に登場する伊都国や斯馬(しま)国の地として知られる。市中心部から南西の神在(かみあり)にある「神在神社」の近くに鎮座する巨石が、パワースポットとして人気を集めている。地元住民から「神石(しんせき)」と呼ばれる巨石に参拝してみると、両手を合わせたくなる神々しさがあった。

 昨年11月下旬、同市神在の土手に季節外れのツクシが芽吹いたと連絡を受け、発見した川口妙子さん(72)を取材した。川口さんから「『神石』」って知っていますか?」と聞かれた。神在神社の神石。そういえばインターネットで話題になっている。「見てみたいと思っていたんですよ」と答えると、すぐに案内してくれた。

 近くの行政区長の田中幹雄さん(75)も同行してくれた。神社の創建は572年。大伴(おおともの)連狭手彦(むらじさでひこ)が新羅遠征の成功と渡海の安全を祈願するため建立したのが始まりと伝わる。神社から里道を通って南へ5分ほど歩くと竹林の一段下にこつぜんと巨石が見えた。

 「神功皇后がこの辺りに来られた際に紫色の雲がたなびいたという伝説があります」と田中さん。巨石は外周約16メートル、高さ約4メートル。写真に収めて後から画像を見ると、日差しを浴びた上部が神々しく光っていた。「日本人だけでなく最近は外国人観光客も来ています」と説明してくれた。

 ただ、しめ縄を張ってお祭りするようになったのは2016年11月からという。竹林に覆われて埋もれた存在だったのを神社総代の馬田学さん(76)が再発見したのがきっかけだった。馬田さんがあらためて調べると、巨石の特集本にも登場し、20年ほど前に撮られた写真が掲載されていた。「きちんとお祭りした方がいい」と考え、地主の了解を得て竹林を伐採。地元の区長会の協力も得て道を整備し、案内板を立てた。ネットやテレビで話題になると、県内外から参拝客が訪れるようになった。

 「石の周りで勾玉(まがたま)が出たと聞いています」と馬田さん。世界遺産となった宗像大社・沖ノ島の祭祀(さいし)の変遷を思い出した。4世紀後半、巨岩の上で祭祀が行われた後、岩陰に移行する。神在神社の周辺には、古墳時代、糸島地方最大の前方後円墳「一貴山銚子塚古墳」(4世紀)や、近畿と韓国の古墳だけに見られる木製埴輪(はにわ)が出土した釜塚古墳(5世紀)がある。神石で祭祀が行われていても不思議はなさそうだ。

 馬田さんは、行政区長の田中さんの話を裏付けるように「神石の上に紫の雲がたなびいた写真を見せられたことがある」と明かす。「何か力を感じませんか」との馬田さんの言葉をかみしめながら、あらためて巨石を見上げた。

=2019/01/08付 西日本新聞朝刊=

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