「ながらスマホ」 危険性の周知徹底さらに

西日本新聞

 スマートフォンなどを使用しながら車を走らせる「ながら運転」について、警察庁が道交法改正試案をまとめた。罰則の強化が柱だ。

 運転だけでなく、歩道や駅を歩きながら画面に見入る「歩きスマホ」も極めて危険だ。道交法改正の論議を機に、「ながらスマホ」全体の危険性をさらに周知徹底していきたい。

 ながら運転を巡っては、愛知県で2016年、スマホ向けゲーム「ポケモンGO(ゴー)」をしながら運転していた男のトラックに、男児がはねられて死亡し、遺族などから罰則強化を求める声が上がっていた。

 スマホやカーナビの使用に起因する死傷事故は一昨年、2832件発生した。5年前の1・5倍に増えており、そのうち死亡事故は40件だった。

 警察庁の試案は、車やバイクを運転中にスマホで話したり、画面を注視したりする違反に対して、現行の「5万円以下の罰金」を改め、懲役刑を加えて「6月以下の懲役または10万円以下の罰金」とする-などだ。今月下旬まで意見公募(パブリックコメント)を実施し、正式決定するという。

 自転車に乗る際も、モラルが厳しく問われる。川崎市で一昨年、スマホ片手に自転車を運転していた女性が高齢者をはねて死亡させ、重過失致死罪で、禁錮2年、執行猶予4年の判決を受けた。女性は「そんなに悪いことだとは思っていなかった」と話していたという。

 自転車は道交法で「軽車両」に分類され、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転する義務がある。免許が不要な分、運転者は責任を自覚し、それらを熟知する必要がある。

 福岡県では自転車の「ながら運転」禁止を明記した条例が17年に施行された。条例制定の動きは全国に広がっている。警察の取り締まりや啓発の強化にとどまらず、学校や家庭、地域でルール徹底に取り組みたい。

 当然だが、スマホの操作中は視野が極端に狭くなる。それだけでなく、視界に入ったものに対しても鈍感になるとされる。

 「歩きスマホ」中に、駅のホームから転落したり、人と接触してトラブルになったりする事例が数多く報告されている。

 マナー向上が対策の基本だが、今後は「歩きたばこ」と同様に条例などで禁止すべき場所も出てくるだろう。

 スマホは、個人の日常生活に関する便利な機能が日進月歩で増え続けており、暮らしに欠かせないものになってきた。比例して社会問題も派生している。一歩間違えば、自分や他人の一生を変えてしまう道具にもなることを強く心にとどめたい。

=2019/01/09付 西日本新聞朝刊=

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