志望者急減の「ご当地アイドル」 健全な受け皿づくりへ事務所連携 ブラック監視、育成法交換

西日本新聞

イベントに向け稽古に励むご当地アイドルたち 拡大

イベントに向け稽古に励むご当地アイドルたち

 複数の芸能事務所が連携してアイドル業界の透明性や健全性を高める取り組みが福岡で進んでいる。愛媛県の女性アイドル=当時(16)=の自殺の影響から、ご当地アイドル志望者が急減する中、イベントの共同開催を軸に、ブラック事務所の情報や育成方法のノウハウを交換し夢の健全な受け皿づくりを目指す試みだ。

 共催イベントは2011年から開始。個々のグループが単独で登場するのではなく、協力して一つの舞台をつくり上げるのが特徴。今回は福岡市の興行会社など5団体が主催し、殺陣シーンのある芝居に力を入れる。ライバル同士が切磋琢磨(せっさたくま)して2カ月稽古に励み、個々の技術を磨く。出演者の一人で2月にグループを卒業する「パピマシェ」の森咲知子さん(24)は、ここでの経験をきっかけに、音楽ではなく「演劇関係に進むことを決めた」という。

 2000年代半ば、アイドルは「会いに行ける身近な存在」として国民的グループとなったAKB48のブレーク後に急増。福岡のご当地グループは「HKT48」「LinQ(リンク)」のほか、今回のイベントに登場する「QunQun(キュンキュン)」など、現在でも30を超えるという。

 だが、福岡市のある芸能事務所では、パワハラ自殺が報道された18年10月以降、志望者ゼロが続く。関係者は「こんな状況は初めて。劣悪な労働環境を強いる“ブラック事務所”の存在も事実で、反対する親御さんは聞く耳を持ってくれない」と頭を抱える。別の事務所も「ブームに陰りが見え、志望者は減少傾向だったが、さらに追い打ちをかけている」と話す。

 「使い捨てになってほしくない」とする実行委員会は歌やダンスだけでなく、芝居、トーク…と個々の適性を見抜き、得意分野のスキルを伸ばす機会と位置づける。また、事務所の枠を超えてアイドルの様子をチェックすることが健全な活動環境の維持と能力開発にもつながる。関係者は「適性に応じて演劇や裏方など、本人たちが望む卒業後の進路のあっせんを事務所同士で連携して確立させたい」としている。

 今年のイベントは11、12日、福岡市中央区の電気ビルみらいホール。問い合わせはピクニック=050(3539)8330。

=2019/01/10付 西日本新聞夕刊=

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