文氏年頭会見「日本が問題拡散」 元徴用工訴訟 政府間協議言及せず

西日本新聞

 【ソウル曽山茂志】韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は10日、ソウルの大統領府で年頭の記者会見を行い、韓国人元徴用工への賠償を新日鉄住金に命じた昨年10月末の韓国最高裁の判決を尊重する考えを改めて示し「日本の政治指導者らがたびたび政治争点化して、(韓国に対する)非難の材料とし、問題を拡散させているのは賢明な態度ではない」と批判した。8、9日に北京で開催された中国の習近平国家主席と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長との首脳会談は「2回目の米朝首脳会談が近い兆候だ」と歓迎した。

 文氏は元徴用工問題を「韓国政府がつくり出したものではない。過去の不幸な長い歴史のために生まれた問題だ」と明言。日本政府が9日、1965年の日韓請求権協定に基づき韓国政府に要請した政府間協議への対応には言及せず、解決に向けて「両国が真摯(しんし)に知恵を合わせなければならない。(日韓の)未来志向の関係を損ねるのは望ましくない」と述べた。

 元徴用工らの救済に向けて日韓の企業などが基金を拠出する案も出ているが、文氏は、判決を故意に遅らせた疑いで最高裁の元判事らが捜査対象になっているとして「状況が落ち着くのを待って判断しなければならない」と述べ、対応が長期化する可能性を示唆。日本企業の資産差し押さえの連鎖を止めるため、早期解決を目指す日本政府との温度差も明確になった。

 北朝鮮の非核化問題に関して文氏は「中国が大きな役割を果たした」と述べ、今回の中朝首脳会談が2回目の米朝首脳会談を後押しするとの期待を表明。その上で次の焦点が「北朝鮮の非核化措置に相応する米国の対応だ」と指摘、対北朝鮮制裁の解除や朝鮮戦争(50~53年)の終戦宣言受け入れなど米国の譲歩が必要との考えを示した。

=2019/01/11付 西日本新聞朝刊=

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