「ここで生きるネット」発 小出 秀雄氏 西南学院大 経済学部教授

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小出秀雄氏

 ◆学生と地域

 筆者が担当する2年生のゼミに「都会VS田舎」という地域実践チームがある。メンバーは7人で男子の出身は長崎・熊本・大分、女子は北九州市および福岡県小郡市から通っている。

 このゼミでは通常の「座学」に加えて、地域で「実践」することにより、学生の「社会人基礎力」を養っている。座学では、人口減少に直面している日本が進めるべき国づくりと地方における持続可能性を論じた文献や、統計学とデータに基づいて日本が抱える諸問題を検証した文献を読みながら、教員や学生、社会人が議論している。

 一方実践では、関心のある学生同士がチームを組み、テーマを決めて、月1回のペースでワークショップや活動報告をしている。座学で得た知識を踏まえつつ、自分たちで動いて考えて議論してはじめて、地域社会の問題が自分事となる。「都会VS田舎」もこのチームの一つで、お互いの出身地の魅力と不便さを徹底的に出し合い、20歳時点でこれからどのような人生を送りたいか模索している。

 東京や大阪の人から見たら、福岡市は都会かと疑問を持たれるだろう。「金物のまち」新潟県三条市で生まれ育ち、横浜と東京に住んだこともある筆者にとって、福岡市は適度に都会、適度に田舎の都市である。

 4年ほど前から、本学の学生たちは「姪浜西南大学まち」という地域活性化プロジェクトに取り組んでいる。活動範囲は福岡市西区姪の浜だけでなく、早良区西新、中央区地行浜にも広がっているが、きっかけは積極的な学生が自らつくり出している。身近な地域に貢献したいと思う若者が、商店街や自治協議会、企業の方々と自然に結びついていく。適度に都会、適度に田舎な地域で学生はたくましく育ち、地域も徐々に動く。

 学生は地域の子どもと大人をつなぐ、絶妙な触媒の役割を果たす。学生はチームをつくって、地域に飛び込もう。大人は固定観念を投げ捨て、学生の行動を温かく見守ろう。「大学in地域、地域in大学」という雰囲気をつくり、お互いが繁栄する可能性を探ってほしい。そう願い、ゼミに臨んでいる。卒業して地元に戻る学生はきっと、その学びを生かしてくれる。

 小出 秀雄氏 1971年生まれ、新潟県三条市出身。横浜国立大、一橋大大学院を経て、99年に西南学院大教員に。専門は環境経済学。2018年からコミュニティ政策学会理事。

=2019/01/13付 西日本新聞朝刊=

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