天ぷら廃油で飛行機をフライ! バイオジェット燃料、国産初の実用化へ 北九州などの産学官

西日本新聞

廃食用油をバイオジェット燃料にリサイクルするHiBD研究所の試験装置。藤元薫代表理事が操作する 拡大

廃食用油をバイオジェット燃料にリサイクルするHiBD研究所の試験装置。藤元薫代表理事が操作する

 天ぷら油など家庭や食品加工メーカーで使用後に廃棄される廃食用油を航空機用のバイオジェット燃料としてリサイクルする事業に、九州などの産学官が参入する。石油系燃料並みの販売価格を狙える新技術をバイオ燃料研究機関「HiBD(ハイビーディー)研究所」(北九州市)が開発、特許申請しており、新年度にも生産に入る見通し。バイオジェット燃料は二酸化炭素(CO2)排出削減に有効として各国で導入されているが、国産技術による実用化の例はなく、実現すれば日本初となる。

■佐賀空港発の第1便で東京五輪応援

 事業主体は同研究所のほか北九州市立大(同)、バイオ燃料製造会社「環境エネルギー」(広島県福山市)。佐賀市が廃食用油を無償提供する。同市は市営バスなどのリサイクル燃料用に市民や飲食店から廃食用油を回収しており、新燃料による第1便を佐賀空港から来年の東京オリンピック・パラリンピック応援のため運航する計画もある。

 国内では、バイオジェット燃料の使用は外国産による試験飛行にとどまっていた。今月、全日本空輸と日本航空が導入を発表した燃料も外国産で、国内産は商用化されていない。日本では油分を含む藻類を原料に官民の研究も進むが、大規模な培養池が必要なほか、精製に大量の水素を使うためコスト高になっている。

■特殊触媒で精製コスト抑制

 HiBD研究所などによると、新技術では燃料精製に特殊な触媒を使い水素消費量を抑え、原料費も廃食用油を使うことによって最小限にできる。試験製造段階でジェット燃料の国際規格を満たしているという。生産した燃料は石油精製会社に引き渡し、石油系燃料と混合して航空会社に提供する。

 今のところ1リットル当たりの販売予定価格を約150円と試算。2月に環境エネルギー社が新技術の実証プラントを完成させ、石油系燃料とほぼ同じ水準の100円以下の価格を目指す。

■「最も安く大量に生産できる技術」

 国内の廃食用油は外食・食品業者や家庭から年間52万~54万トン出ており、回収先を広く求めたい考えだ。

 環境エネルギー社の野田修嗣社長は「現時点で最も安く大量に生産できる技術ではないか」と説明。北九州市立大と東京大で名誉教授を務める同研究所の藤元薫代表理事は「製造工程を改良し、さらに生産効率を上げたい」と話している。

【ワードBOX】バイオジェット燃料

 植物や植物由来の廃食用油などを原料にしたバイオ燃料の一種。植物は成長段階の光合成で二酸化炭素(CO2)を吸収しており、航空機からCO2が出ても相殺されて排出削減になるとされる。国際民間航空機関(ICAO)の加盟各国が、2020年以降にCO2排出量を増やさないことで合意し、航空会社は利用促進を迫られている。国は20年の東京五輪・パラリンピックでの本格導入を目指している。

=2019/01/14付 西日本新聞朝刊=

PR

最新記事

PR

注目のテーマ