【福岡コンフィデンシャル】自民の世論調査、一気に拡散

西日本新聞

2016年の衆院福岡6区補選で応援演説する麻生太郎氏(右)。知事選も麻生氏の意向を受け、保守分裂の構図に突き進む 拡大

2016年の衆院福岡6区補選で応援演説する麻生太郎氏(右)。知事選も麻生氏の意向を受け、保守分裂の構図に突き進む

 情報は、あっという間に県内の政界関係者の間を駆け巡った。「小川の支持率は過半数を優に超え、武内を大きく引き離していた」

 自民党本部は今月12~14日の3連休で、ひそかに県知事選(3月21日告示、4月7日投開票)の世論調査を実施。今週、その結果が県選出国会議員の元にもたらされると、口づてや無料通信アプリLINE(ライン)などで具体的な「数字」が地方議員や秘書、首長などへ一気に拡散した。

 「保守分裂選挙」突入が濃厚となる中、結果の受け止めは対照的だ。

 自民県連は昨年末、公募で元厚生労働省官僚、武内和久を推薦候補に選んだばかり。現職知事小川洋への対抗馬擁立を主導した副総理兼財務相、麻生太郎に近い県議は「この時期は知名度調査みたいなもの。意味はない」と突き放す。県連役員の一人も「党本部推薦が決まれば、調査の聞き方も変わる。戦いはそれからだ」と気にするそぶりはない。

 一方、衆院議員武田良太など、県連内で「反麻生」の立場を取り小川支持を明確にしている議員たちは勢いづく。武田は周囲に「勝負にならんよ」と漏らし、元副総裁山崎拓に近い県議も「知事を応援する首長たちにとっても勇気づけられる結果だ」と沸き立つ。

 県連から武内推薦の申請を受けている党本部関係者からも「この数字では武内さんが単独推薦を得るのはかなり厳しいのではないか」との声が漏れる。

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 「約2年前とまったく一緒じゃないか」。こう話すのは、衆院福岡6区選出の衆院議員鳩山二郎の事務所関係者だ。

 関係者が言う「約2年前」とは2016年秋に行われた衆院福岡6区補欠選挙を指す。このときも県連は候補の公募を行い、県連会長蔵内勇夫の長男を選出。党本部に公認申請した。

 だが、党本部は世論調査を重ね、公募に漏れた後に無所属での立候補を表明した鳩山が大差でリードしているとの結果を県連に示し、双方に公認を出さない「裁定」を下した。

 県連が選出した候補が世論調査で大きく水をあけられているのは、今回の知事選も同じだ。

 共通点はまだある。6区補選では、蔵内の長男には麻生派議員や県連が付き、鳩山を支援したのは武田ら二階派議員や山崎だった。県知事選も、県連が推す武内を麻生が支援し、小川のバックには山崎、武田らが控える「代理戦争」の構図になっている。

 今月27日投開票の山梨県知事選は、自民推薦候補が現職と激戦を展開。党の世論調査ではやや苦戦との結果が出ており、ある党関係者は「もし山梨を落とせば、後に控える福岡で勝ち目の薄い戦いはできない。分裂選挙となれば、なおさらだ」と話す。

 自民党本部の事務方重鎮として約40年、選挙対策に携わり永田町で「選挙の神様」と呼ばれた久米晃が今月、退職した。久米は日頃から後進に「選挙は数字。数字はうそをつかない」と説いてきた。勝利を最優先する党本部にとって「数字」は最大の判断材料だ。

 県連選対委員長の参院議員、大家敏志が9日の党選対幹部会合後、記者団に「(党本部は)世論調査しない」と断言したのは、武内が劣勢に立たされている現状を「数字」で示されたくないとの思惑が透ける。

 ただ、現段階では知名度がある小川が武内を上回るのは自然だ。小川県政は宿泊税導入を巡る福岡市との対立や県議会との関係悪化といった課題も抱える。「争点の作り方次第で武内はいい勝負ができる」。県連幹部はなお強気な姿勢を崩していない。 (敬称略)

=2019/01/18付 西日本新聞朝刊=

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